スイスの視点を10言語で

スイス人科学者マイヨール、ケロー両氏にノーベル物理学賞

swiss scientists
ミシェル・マイヨール氏(右)とディディエ・ケロズ氏。2005年撮影 Keystone / Laurent Gillieron

スウェーデン王立科学アカデミーは8日、今年のノーベル物理学賞に、宇宙の謎の解明に大きく貢献したスイス人科学者のミシェル・マイヨール、ディディエ・ケロー両氏ら3人を選んだと発表した。

ジュネーブ大のマイヨール名誉教授、ケロー教授は「太陽類似の恒星を周回する太陽系外惑星の発見」の功績が評価され受賞。ほかに米プリンストン大学の名誉教授でカナダ系米国人のジェームズ・ピーブルス氏が受賞した。

同アカデミーは「ジェームズ・ピーブルス氏は、ビッグ・バン後の宇宙がどう進化したかを理解するのに貢献し、ミシェル・マイヨール氏とディディエ・ケロー氏は地球に近い未知の惑星を探索した」と3人の功績を称えた。

「彼らの発見は、世界に対する私たちの認識をがらりと変えた」

1995年10月6日、マイヨール氏とケロー氏は地球から42光年離れた星の周りを公転する太陽系外惑星「ペガスス座51番星b(51 Pegasi b)」を世界で初めて発見したと発表した。

この発見から数十年でさらに千個以上の太陽系外惑星が発見され、天文学発展のきっかけとなった。マイヨール、ケロー両氏も調査を続け、最初の発見から12年後には、赤色矮星グリーゼ581cの周りを回る地球に似た惑星グリーゼ581cも発見した。

天文学で最も大きな謎は、地球以外に生命体がいるかどうかだ。マイヨール氏は10年前のスイスインフォのインタビューで、「科学者として、私はその質問に答えられないと感じている」と語っていた。

スイスは2017年にローザンヌ大のジャック・デュボシェ名誉教授がノーベル化学賞を受賞。物理学賞の賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億円)。賞金の半分はピーブルス氏に贈られ、残りの半分をマイヨール氏とケロー氏で分ける。

マイヨール氏は2015年に京都賞も受賞している。

おすすめの記事
超大型望遠鏡の模型

おすすめの記事

ジュネーブから宇宙人を探す

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・ジュネーブに今月、太陽系外の惑星を探査する世界中の科学者たちが集結した。ケオプス(CHEOPS)望遠鏡を始め、スイスの宇宙探査への貢献も再び注目を浴びている。

もっと読む ジュネーブから宇宙人を探す

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

おすすめの記事

スイス鉄道、国外へ乗り入れせず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)取締役会長のモニカ・リバー会長は、自社列車で国外に乗り入れないとする同社の決定を擁護した。

もっと読む スイス鉄道、国外へ乗り入れせず
スイス事故防止協議会(BFU)によると、シートベルトの着用により、過去10年間の国内交通事故で負傷事故5700件、約650件の死亡事故を未然に防いだ

おすすめの記事

命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは、30年前から車の後部座席のシートベルト着用が義務付けられている。スイス事故防止協議会(BFU)と連邦統計局の最新データによって、この安全対策の有効性が裏付けられた。

もっと読む 命を救う後部座席のシートベルト スイスで義務化30年
握手を交わすスイスのアムヘルト大統領と岸田首相

おすすめの記事

アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望

このコンテンツが公開されたのは、 訪日中のヴィオラ・アムヘルト大統領兼国防相は7日、官邸で岸田文雄首相と会談し、日本・スイス間の自由貿易協定(FTA)改定というスイスの要望を改めて表明した。

もっと読む アムヘルト大統領、岸田首相と会談 FTA改定を改めて要望
UNRWAの前でたむろす子どもたち

おすすめの記事

UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇

このコンテンツが公開されたのは、 国連は5日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員9人が昨年10月7日のイスラム過激派ハマスによるイスラエル襲撃に「関与していた可能性がある」との内部調査を発表した。

もっと読む UNRWA、「イスラエル襲撃に関与した可能性」の9人を解雇
診察を受ける赤ちゃん

おすすめの記事

スイスで小児科医が不足

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小児科医協会は医師が足りず、特に地方部で子どもが十分な治療を受けられなくなる可能性があると警告する。背景には柔軟な働き方を求める世代の増加や役所・企業の「官僚主義化」があると批判する。

もっと読む スイスで小児科医が不足
注射を打たれる男性

おすすめの記事

コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは現在、新型コロナウイルス感染症が再び流行している。それ自体はさほど深刻ではないものの、ワクチンを受けたくても薬局や診療所に在庫がない事態が発生。背景には7月初めの制度変更がある。

もっと読む コロナ再流行のスイス、ワクチン不足に
座り込む女性の横顔

おすすめの記事

スイスで人身取引被害が増加

このコンテンツが公開されたのは、 「人身取引と闘うプラットフォーム(Plateforme Traite)」は2023年、スイスで197件の人身取引(人身売買)事案を記録した。前年比で11%増加した。

もっと読む スイスで人身取引被害が増加
耳を抑える子どもと打ち上げ花火

おすすめの記事

「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス人の半数が、打ち上げ花火は8月1日の建国記念日に欠かせないと考えていることが最新の調査で分かった。しかし、回答者の大多数は個人での花火打ち上げに反対している。

もっと読む 「建国記念日に花火欠かせない」半数 スイス世論調査

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部