熱帯性低気圧が北向きに移動する傾向が年々強まっていることがスイスなど4カ国の実施した国際調査で明らかになった。調査では嵐で倒れた樹木の年輪に注目した。
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これまで、熱帯性低気圧(ハリケーンや台風とも呼ばれる)の動き方や威力の長期的な変化については知見が乏しかった。
スイス連邦森林・降雪・国土研究所(WSL)がチェコ、ロシア、韓国と協力して行った調査外部リンクでは、これまで台風が通過しなかった地域にも上陸する傾向が強まっていることが明らかになった。
報告書を執筆した研究者のヤン・アルトマンさんは、年輪には「木の一生にあった出来事が全て記録されている」と話す。調査では韓国からロシアまで1300キロメートルに及ぶ広大な範囲の樹木を分析し、過去200年間で台風にどのような変化が起こっているかを調べた。
「近年の台風の被災地は、かつて台風の影響をほとんど受けていなかった」とアルトマンさんはWSL のプレスリリースで述べた。台風は北向きに移動するようになっているという。
この変化が気候変動によるものなのか、長期的な自然変動によって引き起こされたものなのかは不明という。明らかなのは、これまで台風を経験したことのない地域は、被害に適切に対処する体制が整っていないということだ。
調査の詳しい内容は、米国科学アカデミー発行の機関誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。
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