太陽光だけで飛ぶ有人飛行機「ソーラー・インパルス2号機」を載せた貨物機はスイス・パイエルヌ空軍基地を6日朝に出発し、同日夕方、アラブ首長国連邦のアブダビに無事到着した。ソーラー・インバルス2号機はここを出発点に、今年3月から5カ月間の世界一周飛行に挑戦する予定だ。
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飛行中は乱気流に耐えられるよう設計されている同機だが、輸送にはデリケートだ。翼幅は72メートルあり、同機を載せた貨物機よりも長い。そのため、翼は三つに解体され、各構成部品は特製のコンテナに収納された。
貨物機にソーラー・インパルス2号機を運び入れる作業は、6人の専門家チームが夜通し行った。輸送コストは推計40万フラン(約4700万円)。旧型のソーラー・インパルス1号機をスイスから米国に輸送した際のコスト50万フランより低い。
2号機はアブダビで2カ月間ほど整備をした後、3月の天候が良い日に、5カ月間世界一周の旅に向けて出発する。東周りで、アラビア海、インド、ミャンマー、中国、太平洋、米国、大西洋、南欧、北アフリカを回り、最終的に出発地アブダビに戻ってくる予定。
1号機は2010年、連続26時間飛行を成功させた。これにより、ソーラーパネルは夜間飛行を十分可能とするエネルギー量を日中に蓄えられることが証明された。2号機は、5日間連続となる120時間の飛行を予定している。これは太平洋から大西洋を横断できる時間の長さだ。
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ソーラー・インパルス 企業が支援する理由とは
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ベルトラン・ピカールさんは今、大忙しだ。太陽光エネルギーで飛ぶ飛行機「ソーラー・インパルス」プロジェクトで注目を浴びているからだ。機会さえあれば、スポンサーたちはこぞって、この世界記録保持者である飛行家のもとへと押しかける。なぜスポンサーやパートナー企業は、これほどプロジェクトを重要視するのか。
ピカールさんとアンドレ・ボルシュベルクさんの太陽エネルギー飛行機「ソーラー・インパルス2(以下、Si2)」が、6月上旬にお披露目された。2015年にはその飛行機で世界一周をする予定だが、今二人が直面している課題は、技術的な問題だけではない。Si2の主要パートナーの一部が、現在のパートナーシップにあまり満足の表情を見せていないようなのだ。
「メディアに比べて、我々はそれほど特別扱いされていない。我々に対するケアがもう少しあってもよいのではないか」と関係者の一人が言うと、「確か年次総会か何かで、年に3回はピカールさんとお会い出来る機会があったはずなのだが」と、その同僚が続ける。
そして彼らは、パートナー企業である自分たちの会社が、前回のイベントで充分な露出があったかどうかについて問い始めた。ビジネス界やメディア関係者の、何百人という人々が注目するイベントのことだ。
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ソーラー・インパルス、ハイテク素材を駆使
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