同一の要件を満たすスイス人と外国人求職者では、外国人の方が採用担当者から連絡を受ける可能性が平均して6.5%低いことが、スイスの研究で分かった。
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採用時の差別に関する調査研究の多くはこれまで、採用担当者に架空の履歴書を送るなどの方法が用いられてきた。ただこれらの方法には一般的に費用が掛かる上、特定の求職者の分析しかできないデメリットがあった。
調査研究は連邦工科大学チューリヒ校景気調査機関(KOF)の研究者が中心となって実施。求人サイト上における採用担当者の検索行動の追跡と、採用担当者が閲覧可能な全求職者の特性を機械学習で管理する手法を組み合わせ、差別の実態を調べた。論文外部リンクは20日付の科学誌ネイチャーに掲載された。
経済省経済管轄庁(SECO)の協力を得て10カ月間、国内最大規模の求人プラットフォーム「Job-Room」上の匿名データにアクセスした。SECOが管轄するJob-Roomには、求職者15万人以上の性別、国籍、年齢などの情報が掲載されている。
論文共著者のダニエル・コップ氏(KOF)は「私たちの手法は、異なる職業や時点での差別を研究し、プラットフォーム上での検索プロセス全体を分析することが可能」と言う。「採用担当者にどの候補者が表示されているのか、採用担当者が1つのプロフィールをいつ、どのくらいの時間見ているのか、また連絡先ボタンをクリックしたかなどを知ることができる。そのような採用時の意思決定を何百万回も観察している」
無意識のバイアス
その結果、採用担当者による求職者への接触率は、移民や少数民族だと4~19%低い(平均6.5%)ことが明らかになった。ただ、求職者の出身国によっても違いがあり、特にバルカン半島、アフリカ、中東、アジアからの移民に対する差別が顕著だった。
研究ではまた、時間帯も重要であることが分かった。採用担当者が履歴書に目を通す時間が短くなる正午から夕方にかけては、外国出身という要素はよりネガティブな影響を及ぼすという。
共著者のドミニク・ハンガートナー氏は「この結果は、少数派に関する先入観など、無意識のバイアスも差別に関連していることを示している」と話す。このような無意識のバイアスは、疲れているときや仕事を辞めたいときに、より大きな影響を与えている可能性があるという。
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