The Swiss voice in the world since 1935

ツーク市、ブロックチェーン投票を試験導入

ツーク市とアルプスの眺め
ツークは行政もブロックチェーン技術を積極的に取り入れている Keystone

「クリプトバレー(暗号の谷)」を自称するスイスのツーク州では今月下旬、住民がブロックチェーンを使った投票実験を行う。スイス各都市がこの技術を広範に使用できるかどうかを検討する。

 州都ツーク市では昨年11月に電子身分証明書(ID)を導入し、今は約200人が利用している。今回の投票実験ではこのシステムを活用。有権者はアプリ「ユーポート(uPort)外部リンク」をダウンロードしてスマートフォンで投票できる。

 この試みは、ブロックチェーン技術や仮想通貨ビジネスに好意的なツーク市の姿勢を象徴する一例だ。同市にはすでに多くのブロックチェーン企業が拠点を置く。いくつかの行政・民間サービスでは仮想通貨による料金支払いが可能だ。

 6月25日~7月1日の間、ツーク市民はスイスで初めてブロックチェーンを使った投票参加が可能になる。あくまで実証事業であり、投票結果は市政に反映されない。

 有権者は、毎年恒例のレイクサイドフェスティバルで花火を打ち上げることに賛成するかどうか、電子IDを使った図書の貸し出しや駐車料金の支払いを認めるべきかどうかについて投票する。また将来、国民投票にもブロックチェーンを使った電子IDを使うべきかどうかも問われる。

デジタル化を後押し

 ツーク市は昨秋、市の事務手続きをオンラインで済ませられるよう、実証事業として電子IDシステムを導入した。有権者のデータベースをブロックチェーン技術(分散型台帳技術)で非集権的に管理することで、スイスの他地域で使われている電子IDよりも進歩したものになった。

 シャフハウゼン州は今月、ブロックチェーン技術を使わない電子IDシステムeID+外部リンクの実証を終え本格導入した。住民はスマートフォン経由で州の税金や雇用、道路交通、児童保護や都市計画などの部署にアクセスできる。企業も電子IDサービスを利用可能だ。同システムはスイスの身分証明システム企業プロシビス(Procivis)外部リンクが開発した。

 昨年、スイス郵便やスイス連邦鉄道、証券取引所運営企業のほか、いくつかの銀行や保険会社らがコンソーシアム「スイスサイン(SwissSign)外部リンク」を立ち上げ、全国的な電子IDサービス「スイスID」を開始した。

 これらの電子IDシステムが全て投票での利用を念頭に設計されているわけではない。だが連邦政府は国内全土での電子投票の導入に意欲的だ。19年末までに26州のうち3分の2以上が電子投票に賛成することを目指す。

≫電子投票のメリット・デメリットは?

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
スイスのカリン・ケラー・ズッター大統領

おすすめの記事

スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。

もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
スイスのケラー・ズッター大統領とパルムラン経済相

おすすめの記事

スイス、トランプ関税に報復せず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は3日、ドナルド・トランプ政権が同日発表した関税に対し、当面は対抗措置を取らないと表明した。

もっと読む スイス、トランプ関税に報復せず
BYDの車

おすすめの記事

スイスにBYDが上陸 年内に15店舗

このコンテンツが公開されたのは、 中国のEVメーカー比亜迪(BYD)が正式にスイス市場に進出する。年内に全国で15店舗を出店する計画だ。

もっと読む スイスにBYDが上陸 年内に15店舗
スイスFINMA

おすすめの記事

スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)は1日、監督体制を強化するため組織を再編したと発表した。クレディ・スイス危機への反省から、立ち入り検査機能を増強する。

もっと読む スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設
シモン・プリュス氏

おすすめの記事

スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦経済管轄局(SECO)は1日、これまでに国内で凍結したロシア資産は74億フラン(約1兆2500億円)になったと発表した。資産の所有者の特定が進んだことで、昨年4月から1年で16億フラン増えた。

もっと読む スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部