150年以上前から記録されているスイスの気象データを見れば、気候の変動がよくわかる。2015年は観測史上最も暑い年だったが、16年の暑さもかなりのものだった。
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下の動くグラフィックでは、過去1世紀半のスイスの月平均気温の推移を示している。
気温は1980年代から大幅に上昇し、それ以来高い水準を保っている。スイスでは2016年の年初は特に暖かかったが、一年を通じてみると1864年以来8番目に暑い年となった。
スイス全土で平均気温が上昇していることは、年平均気温を1981〜2010年の平均と比較すれば明白だ。
世界的な現象
しかし、スイスに限らず温暖化は国際的にも観測されている。2016年のデータはまだ出揃っていないが、米航空宇宙局(NASA)外部リンクによると、2016年前半は1880年以来最も暑かったようだ。
ジュネーブに拠点を置く国連の世界気象機関(WMO)外部リンクは、2016年の世界の平均気温は記録的水準に達し、産業革命以前の時代から1.2℃以内の上昇にとどめるという世界的に合意された閾値を超える見込みだと発表した。
WMOによると、極端な気温変動の原因となっているのは、特に強いエルニーニョ現象と温室効果ガスの排出だという。エルニーニョ現象は太平洋赤道域の海面水温が上昇する気象現象で、周期的に発生し、さまざまな地域で厳しい干ばつや大雨をもたらす可能性がある。
(英語からの翻訳・西田英恵)
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スイスで記録的な暑さとなった2015年
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2015年は、世界的にもまたスイスでも、記録的な暑さの年として登録されるだろう。昨年の夏、スイスでは猛暑日が続き、12月も温暖な1カ月となった。過去150年間の記録をもとに、2015年がどれだけ暑い年だったのかをインフォグラフィックで紹介する。
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スイス、温暖化対策後退を懸念
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途上国を含む全ての国が、温暖化防止に取り組むことを定めた「パリ協定」の行方に暗雲が漂っている。同協定からの脱退を公約したドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領に決まったのが一因だ。スイスメディアや政府関係者の間では、温暖化対策の後退は避けられないとの見方が広がっている。
モロッコで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)は19日、パリ協定の実現に向けて具体的なルールを2018年までに策定することで合意し、閉幕した。それに先立つ4日にはパリ協定が発効した。
「地球温暖化の取り組みで最も重要な人物、ドナルド・トランプ氏は現れず」。
COP22の閉幕にあわせて、スイスの有力紙NZZはこんな見出しの記事を掲載した。温室効果ガスの排出量世界2位の米国がトランプ氏の公約通り脱退すれば、パリ協定前に逆戻りしかねないと警鐘を鳴らした形だ。
トランプ氏は選挙戦中、地球温暖化を「でっち上げだ」と一蹴。パリ協定からの脱退に加えて、オバマ政権の環境・エネルギー政策の白紙撤回や、米環境保護庁(EPA)の解体を主張してきた。
NZZによると、COP22の会期中に参加国は、米国が脱退した場合の対抗措置についても議論。メキシコやカナダは、米国からの輸入品に炭素税を課すことを検討中だと報じている。
一方、日刊紙ターゲス・アンツァイガーは、温暖化問題に取り組む国際交渉に影を落としたのは、「トランプ・ショック」だけではないとも指摘。COP22では、パリ協定のルール作りをめぐり、先進国と途上国の対立が再燃した場面があったことを示唆した。
パリ協定では先進国と途上国の双方が温室効果ガスの削減で努力することが決まった。
だが、途上国側からすると、温暖化を招いた責任は先進国にあり、先進国は温室効果ガスの削減に積極的に取り組むと同時に、途上国の温暖化対策に資金や技術を提供すべきとの考えが根強い。
ドリス・ロイトハルト環境相はCOP22の会期中、途上国への資金・技術援助として500万フラン(約54億800万円)提供すると表明した。
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スイスの気候変動対策、「野心的だが現実的な」計画案
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スイスは2030年までに、温室効果ガス排出量を1990年比で半減することを目標に掲げている。その達成に向け政府は1日、三つの計画案に関する審議を開始した。だが環境保護団体などは、スイスは十分な努力をしていないと即座に反論した。
11月30日までに審議される三つの計画案は、パリ協定の批准、二酸化炭素(CO2)排出関連法の改正、そしてスイス・欧州連合(EU)間のCO2排出量取引の合意に関するものだ。
「地球全体の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度以内に抑える」という歴史的合意に達したパリの国際気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)から9カ月を経て、ドリス・ロイトハルト環境・エネルギー相は1日、スイスが最初の批准国60カ国入りを目指すとの考えを示した。
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立ち並ぶ若木の陰に設置されている公共のバーベキュー台はまだ未使用のままで、誰かが火を点けてくれるのを待ちわびているようだ。テーブルがないことを除けばヴァリス(ヴァレー)州の州都、シオンの住民がすぐにでもくつろげる状態だ…
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スイスを代表するアルプスの美しい景観が、地球温暖化によって危機にさらされている。昨年パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、世界全体が一層の温室効果ガス削減を目指す「パリ協定」が採択されたが、この歴史的な協定でさえも状況を打破出来そうにない。
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快適な生活を維持しながら、エネルギー消費を半減することは可能だ。少なくともスイスでは、その実現を目指す「2000ワット社会」の目標基準を採用したエリアが誕生している。焦点は、持続的な資源利用や温室効果ガスの排出量削減だ。
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