ジュネーブ州で行われた血清学的検査(抗体検査)の最初の結果が出た。ジュネーブ州人口の5%以上(約2万7千人)が新型コロナウイルスに感染した可能性があるという。政府の公表値よりも多かったが、集団免疫を達成するために研究者が必要とした数値には程遠い。
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ジュネーブ大学病院が22日、研究結果(速報値)を発表外部リンクした。ジュネーブ州内の760人から採取した血清中に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する免疫グロブリンG(IgG)が含まれているかを調べた。ただ研究者たちは、この検査で血中に抗体があることが分かっても、ウイルスへの免疫力があるとは限らない、と注意を促している。病原菌からの防御を保証しない抗体もあるためだ。
これらの検体に基づき、研究者らは2020年4月17日の人口の血清有病率は5.5%だと推定。これは2万7000人が新型コロナウイルスに感染していた可能性があることを意味する。ジュネーブ州で陽性が確認されたのは23日時点で4900人。今回の分析結果は州政府の試算よりもはるかに多かった。ジュネーブはヴォ―州、ティチーノ州と並び国内の感染者が多い地域だ。
抗体検査による感染者数推計値と政府が発表している陽性結果数の間にこれだけの開きがあるのは、政府の公表値は抗体でなくウイルスの有無を調べる検査に基づいたもので、検査対象をすでに症状が出ている人、重症化リスクのある人に重点を置いてきたからだ。
一部の専門家は今回の結果が、「集団免疫」の達成に必要な数値には程遠いと落胆する。集団免疫は人口の大部分(7割)が免疫を持っている状態を指す。
ジュネーブ大学病院のウイルス学者イザベラ・エッカーレ氏は、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に「現時点で分かっているのは、期待していたより感染者の割合が少なかったこと」と語った。
スイスの製薬会社ロシュは、5月に独自の抗体検査を開始すると発表した。セヴェリン・シュワン最高経営責任者(CEO)は22日のロイター通信とのインタビューで、市販されている一部の抗体検査キットは「酷い」とコメント。「これらのテストは何の価値もないか、ほとんど役立たない」と語った。
大規模研究
国内12大学で作るスイス公衆衛生学校外部リンクは23日、抗体を持つ国内人口の割合を調べるため、全国規模の研究を始めると発表した。産学共同の研究は「コロナイミュニタス」と呼ばれ、連邦内務省保健庁、民間企業、および個々の専門家がバックアップしている。
期間は6カ月間。国内2万5千人に抗体を調べる血液検査を受けてもらう。異なる地域や特定の人口集団の中でどれくらいの人が抗体を持っているか、また新型コロナウイルス感染症に対する免疫がどれくらいの期間続くのかを調べる。
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