スイスの視点を10言語で

90億光年先の恒星「イカロス」、国際研究チームにスイスの研究者も

イカロス
重力レンズ効果により観測に成功したイカロス(写真左)。右上は2011年時点のもので、イカロスは見えない。右下は、16年の観測時のもの。白く光る点が見える (NASA, ESA, and P. Kelly, University of Minnesota)

米カリフォルニア大や東京大、東北大などの国際研究チームが2日、「重力レンズ」と呼ばれる自然の増光現象を利用することで、約90億光年離れた恒星をハッブル宇宙望遠鏡で観測できたと発表した。研究チームには、連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、ジュネーブ大の研究者も加わっていた。

 恒星の正式名称は「MACS J1149+2223 Lensed Star 1」だが、ギリシャ神話にちなみ「イカロス」と名づけられた。これだけ遠方の恒星を単独で観測できたのは初めて。手前にある銀河団の強い重力がレンズの役割を果たし、最大で約2千倍明るく見えたという。論文は英科学誌ネイチャー・アストロノミー外部リンクに掲載される。

 研究チームの一員で、連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)天文学研究室のジャン・ポール・クナイプ外部リンク教授は「90億光年離れた恒星を初めて観測することに、とうとう成功した」と喜びを語った。ジュネーブ大天文学部のアントニオ・カヴァ外部リンク博士研究員は今回の観測成功により、恒星と周辺環境について「膨大な量の情報」を得ることが出来たと述べた。 

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

T字型リフトに乗る子ども

おすすめの記事

スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのスキー場で親しまれているT字型リフトが23日、東部ダボスの地で誕生から90年を迎えた。発明直後から急速に普及したが、現在ではベンチ型リフトへの転換が進む。

もっと読む スキー初心者泣かせのT字型リフト 生誕から90年
スイスとEUの国旗

おすすめの記事

スイスとEU、今後の二国間関係について合意

このコンテンツが公開されたのは、 スイスと欧州連合(EU)は20日、貿易や労働、人の移動自由などのルールを盛り込む二国間条約の締結に向けた交渉を完了したと発表した。

もっと読む スイスとEU、今後の二国間関係について合意
クレディ・スイスのロゴ

おすすめの記事

クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書

このコンテンツが公開されたのは、 クレディ・スイスが経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。

もっと読む クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
笑顔で握手を交わす閣僚

おすすめの記事

2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。

もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
健康保険カード

おすすめの記事

医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査

このコンテンツが公開されたのは、 大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。

もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
連邦工科大学の校舎

おすすめの記事

スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。

もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部