スイス国内の主要なスーパーマーケットがレジ袋を有料化して1年が経ち、早くも効果が現れている。1枚0.05フラン(約6円)のレジ袋を使う人は8割減り、大手スーパーのコープによると、プラスチックの年間使用量は850トン減少した。
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レジ袋の有料化は大手スーパーのミグロが一番早く、2016年11月1日に導入。コープ、デンナー、スパー、マノールなどのほとんどの大規模小売店が後に続いた。スイス国内にあるドイツ発のディスカウントスーパー、リドル、アルディはレジ袋を置いていない。
スイスの公共放送ラジオ(SRF)が1日報じた外部リンクところでは、ミグロでは有料化以降、レジ袋を使用する人が8割以上減り、ライバル社のコープは85%超減、スパーは74%減だった。デンナーとマノールは数字を公表しなかった。
小売業界は来年初めまでに無料レジ袋の使用を8割減らす目標を掲げており、消費者の需要もそれに応えた形だ。一方、フルーツや野菜の量り売り用のビニール袋は引き続き無料とする。
一方、フォルグやランディ、コープ系列のコーププロントやミグロ系列のミグロリーノなど、コンビニエンスストア型の小規模店ではレジ袋は無料のまま。コープの広報担当者は、こうした店を利用するのは突発的な理由が多く、買い物袋を持っていない人が大半のため、レジ袋を有料化しても顧客の習慣を変えるのは難しいと話した。
プラスチックの環境汚染
スイスのほかにも、レジ袋に課税したり、レジ袋自体を一部もしくは全面禁止したりしている国は多い。
レジ袋の多くは海を漂い、それによりカメや海鳥の生態に被害が出ている。イルカやクジラの胃の中に廃棄物が詰まり、餓死するケースも報告されている。
プラスチックで出来たレジ袋は分解されるまでに最大1千年かかる外部リンク。それを魚や動物が食べ、食物連鎖で人間にも影響を与える。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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