未成年者も含めた強制結婚の件数がスイスで急増している。その数は今年に入って119件と、前年の60件弱をすでに大幅に上回る調査結果が出た。
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強制結婚の問題に取り組むスイスの団体「zwangsheirat.ch外部リンク」が特に懸念しているのは、未成年者に対する強制結婚の増加だ。今年に入って明らかになった強制結婚119件のうち、26件の被害者は16歳以下の未成年者で、その多くがイラク、シリア、エリトリア、アフガニスタン、ソマリアの出身だ。この件数は2005~15年の間で報告された被害の総件数の5倍にあたる。
ソマリア出身の10歳の少女も強制結婚の被害者だ。スイスで通っている学校のソーシャルワーカーが、彼女が結婚していることに気づいたことで強制結婚の事実が明らかになったと、同団体の代表アヌ・シヴァガネサンさんは日曜紙NZZ・アム・ゾンタークに対して話している。
強制結婚の件数が今年に入って急増した原因は、難民の増加だけではないとシヴァガネサンさんは言う。強制結婚の問題に対する社会の意識、その中でも特に医師、ソーシャルワーカー、教師たちの間での意識が高まったことや、強制結婚に関する相談センターなどが人々の間でより認識されるようになったことにより、被害が明るみに出たからだ。
議会は2012年、他人に婚姻を強要した者に対する実刑判決を最大5年に延ばすなど、強制結婚に対する一連の対策を講じた。この判決は、婚姻関係の成立がスイス国内外を問わず、全ての婚姻の強要にあてはまる。
さらにスイスの役所は強制結婚が疑われる場合には、その婚姻届を拒否し、その旨を司法当局に報告する義務がある。ちなみにスイスで法律上結婚できる年齢は18歳だ。
(英語からの翻訳&編集・説田英香)
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