スイス国民議会(下院)の人権問題委員会は14日、同性同士の結婚と同性カップルの養子縁組をスイスでも認め、同性愛者にも異性愛者と同等の権利を与えるべきとする法案を承認した。
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人権委外部リンクで承認を得た法案は今後、関係団体などに対して意見聴取が行われる。
スイスでは現在、同性愛者はパートナーシップ制度に登録できる。ただ登録カップルによる子供の養子縁組は認められていない。
また現行法で精子提供は、異性カップルのみに認められている。そのため、人権委は、レズビアンカップルの結婚を合法化したうえで、精子提供を認めるスイスの民法典の改正を提案していた。
一方で、男性同性カップルは卵子提供が受けられず不平等だとする批判の声も挙がっている。そのため人権委は、レズビアンカップルへの精子提供については協議を続けるため法案からいったん削除した。
ポジティブな反応
法案への反応は肯定的だ。ゲイとバイセクシャル男性のための団体「ピンククロス外部リンク」のディレクターを務めるロマン・ヘックリ氏は、スイス・ドイツ語圏の公共放送SRFに対し、今こそ同性婚を法制化させる時だとコメントした。
ヘックリ氏は法案の承認は「部分的成功」だと評し、精子提供に関する項目が盛り込まれたままであれば、さらに良い法案だったと話した。一方で、人権委が同性カップルの婚姻問題と精子提供問題の重要性を認識したことは素晴らしいと語った。
スイス紙大手NZZも今回の動きを高く評価した。連邦憲法ではすべてのスイス人男性とスイス人女性に婚姻関係と、家族を構築する権利が与えられている。提案が法制化されれば、さらにもう一歩、基本的人権保障の実現へと近づいたことになる。
平等の権利まであと「2」歩
現在スイスでは、同性婚の支持は高まりをみせている。2016年の調査では、10人中7人がスイスで同性婚を可能にすべきだと回答した。
またスイスの有権者は2005年に行われた国民投票で、同性カップルのパートナーシップ登録制度の創設を可決した。登録制度は2007年に開始。正式なパートナーシップ制度に登録したカップルは、年金、相続、納税に関して結婚したカップルと同じ権利と義務を手にすることができる。しかし、子供の養子縁組や、スイス国籍を持たないパートナーの簡易国籍申請は認められていない。
同性婚に関してスイスはヨーロッパ諸国の中でも遅れており、フランス、ドイツ、オーストリア、英国、アイルランド、スペイン、スカンジナビア諸国などではすでに、同性婚は認められている。一方、イタリアはスイスと同様、パートナーシップ制度を採用している。
(独語からの翻訳・大野瑠衣子)
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