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スイスの難民認定制度の仕組み

Man standing in a corridor
スイス西部・フリブール州の難民センターは最大250人を収容できる。住民の反対を受けるなか、2018年4月に開館した © Keystone / Anthony Anex

スイスで今年3月から新たな難民法が施行され、難民認定手続きは140日以内に迅速に処理されることになった。ところがその一方で、改革された難民認定制度には多くの批判もある。どのような制度になっているのだろうか? 

2016年6月の国民投票で賛成66.8%で可決されて難民法が改正され、19年3月1日からスイス全土で施行された。申請手続きの効率化が主な目的だ。

改革の柱は、申請から難民認定までを原則140日以内に完了することだ。申請却下の場合、難民申請者は国外に退去する必要がある。

難民センターも再編成された。

スイスで難民申請をした人は、全国に6カ所ある国立の難民センターに割り当てられる。申請者の大半は審査が終わるまで、同じ収容施設に滞在する。

ただし申請の処理に時間がかかるため、申請者の一部は国立から州立の難民センターに移される。

スイスで難民認定を得るための資格要件は変わっていない。

変わったのは、当局が申請処理にかけられる時間だ。申請に対する決定の約7割は140日以内に申請者に届いた。申請者は、無料の法律支援を受け、申請手続きを通して弁護士を付ける権利がある。

当局の決定に対して異議申し立てができる期限は、通常30日から7日に短縮された。審査に時間がかかる申請者の場合は、これまでと同じ30日だ。

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当局が掲げた目的は、難民認定を却下された申請者が速やかにスイスから退去し、認定を受けた難民が遅滞なく社会に統合できるよう、審査を迅速化することだ。

効率化のために、難民申請者だけではなく弁護士や連邦移民局の職員も滞在できる難民センターが設立された。

背景には、難民申請者が何年も当局の決定を待たなければならず、働いたり社会に馴染んだりできなくなってしまう事態を避けたいという考えがある。

難民への財政支出を減らす目的もあった。

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連邦移民局は機能していると主張する。ところが、それほど順調に手続きが進んでいるのではなく、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)は10月、3月の改正法施行後、連邦行政裁判所が多くの難民認定に対し無効判決を下したと報じた。

同裁判所が2007~18年の間に差し戻し・再審査を命じた難民決定は全体の4.8%だったが、今年3月以降は16.8%に急増した。難民認定の新しい手続きが以前より効率的になったとは必ずしも言えないとの批判が出ている。

連邦移民局も新制度の欠点を認めているが、このような大きな規模の改革の結果に伴って、再審査の割合が高くなることは異常ではないと説明している。 

数多くの難民擁護団体、法律専門家、ボランティアが改革当初から批判的だった。審査の迅速化は申請内容を丁寧に調べることを不可能にすると主張してきた。申請者の健康状態の調査に十分な時間をかけなかったことを理由に、裁判所が当局の決定を差し戻した例も多くあるという。

難民申請者が利用できる無料の法律相談も不十分だとの指摘がある。訴訟の審査期限が短すぎて、必要な対応ができていない。

難民センターの生活条件にも批判がある。建物は隔離された場所に立地しており、難民申請者は時に移動に制限があり、外部の人の訪問は許可されていない。適切な監視や医療へのアクセスも十分に保障されていない。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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