スイスでは、3月16日から続いていたロックダウン(都市封鎖)を4月27日以降、段階的に解除する。さまざまなデータから、スイス人はおおむね外出自粛要請に従っていたことが分かる。
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新型コロナウイルスの流行を封じ込めるため、スイス国民はさまざまな制限を受けてきた。3月17日午前0時から現在まで、食料品店や薬局など一部の業種を除きすべての商店が閉鎖されている。レストランやバー、映画館や美術館などの文化施設も同様だ。学校は16日から休校になっている。
狭まった行動範囲
連邦政府は国民に対し、家から出ないよう呼びかけている。だが他の国のような外出禁止令は出さず、国民の自己責任と連帯心を信じた。こうした「信頼」にゆだねるやり方は適切だったのか?人々は本当に家にこもっていたのだろうか?
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連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)とチューリヒ州統計局の委託を受けて、インターヴィスタ外部リンクは携帯電話データを使って国民の移動距離などを分析した。その結果、1日の平均的な移動距離は年齢層で異なることが分かった。それが下のグラフだ。
上のグラフから明らかなのは、ロックダウン開始から全ての年齢層で行動範囲が狭まったことだ。いつもなら旅行に出たり遠くの親せきを訪ねたりするイースター(復活祭)の連休(4月10~13日)さえも、移動距離はそう増えなかった。この点では、スイス国民は政府の勧告におおむね従ったと言ってよい。
公共交通機関の利用も控えめ
米アップルは先日来、iPhoneで経路が検索された頻度を公開している。このデータは、どの移動手段が最も多く使われたかを推察するカギになる。スイスでは4割以上がiPhoneを使っている。
いずれの移動手段の検索も、ロックダウン開始から大きく減った。特に減り方が大きかったのは公共交通機関だ。多くの交通機関がロックダウン以降バスやトラム(路面電車)、列車の本数を減らしたことも背景にある。
運行本数と乗客が減ったため、列車の遅延も少なかった。
空路はコロナ危機の影響を最も大きく受けている。多くの国が入国制限を設けているため(スイスも全世界からの入国を制限している)、国外に旅行しようと考える人はそういない。チューリヒ空港に発着陸する飛行機も劇的に減った。
好天にいざなわれて
スイスはこの春、理想的な天候に恵まれている。晴れの日が続き、気温も穏やか。草木も例年より早く萌えている。外出が禁止ではないのをいいことに、多くのスイス人が美しい春を楽しんでいる。
次のグーグル・モビリティー・リポートのデータからは、通常時に比べどのくらい多くの人が外出したかが分かる。
多くの場所では通常に比べ人手が減ったのに対し、公園は人が増えた。遠出は控えるものの、陽の光を浴びたい人が多かったようだ。
増えるネット通信量
公共交通機関の利用や外出が減るのと反比例するように、インターネットの通信量は増えた。多くの企業が自宅勤務に切り替え、学校の授業がオンライン化し、友達どうしともビデオ通話で話すようになった。インターネットも一つの「モビリティ」ととらえていいだろう。
ネット回線も過重負荷にはならなかった。インターネット相互接続点を運営するスイスIXのクリスティアン・ヴィッテンホルスト最高経営責任者(CEO)によると、負荷は増えたが、クリスマスや新年のピークほどではない。
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