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スイス、「住みやすい国」のランク落とす

スイスの山
スイスでの暮らしは山あり谷あり Keystone

国外在住者が現在の居住国を評価する今年の「住みやすい国ランキング」で、スイスは68カ国中44位と振るわなかった。47位の米国より高いが、42位の日本より低い。このランキングから、アルプスの国が抱える障壁と厳しい現実が垣間見える。

 まずは良かった点から始めよう。国外在住者のネットワーク「インターネーションズ」が6日発表した年次調査「エクスパット・インサイダー2018外部リンク」によると、スイスは昨年に続き政治の安定性(68カ国中2位)、環境の質(3位)、旅行の機会と交通インフラ(4位)、子供の安全(5位)、平和(6位)と個人の安全(9位)の分野で好成績を収めた。

 逆に悪かった点は次に挙げる五つの指標で順位を落としたこと。生活の質、移住の容易さ、就労、家庭生活、個人資産だった。

 インターネーションズの創立者で共同最高経営責任者(CEO)のドイツ人マルテ・ゼーック氏は「スイスは過去5年で40位も順位を落としている。この下落は大きい」と話す。「最大の理由は、移住の容易さという指標だ。スイスはこの分野で常に順位が悪く、今や65位(その下はドイツ、サウジアラビア、クウェートの3カ国)だ。スイスに住む外国人の37%が、スイスの文化に溶け込めていないと答えている。一方、世界平均は24%だ」

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swissinfo.ch

 今年の調査でスイスよりも順位の下落幅が大きかったのはルーマニアとスウェーデンだけ。スイスと下落幅が同じだったのは香港だった。

 ゼーック氏によると、スイスに住む外国人の62%が、スイス人となかなか友達になれないと答えた(世界平均は36%)。とても難しいと答えたのは26%(世界平均は13%)だった。

 ゼーック氏は「スイスの人々は、大学や軍隊の訓練などで知り合った友達とずっと付き合うのを好む。少なくともそういう風に受け取られている。このため必ずしも外国人に心を開く必要はない」と指摘する。

仕事の(不)満足度

 スイスは数年前、就労目的の国外在住者の間でトップの人気を誇ったが、その分野でも下降線をたどる。回答者の約5分の1(19%)が、仕事に総じて満足していないと答えた。労働時間、ワークライフバランス、雇用の保障も同様の傾向だ(いずれも21%)。キャリアの先行きに不安を感じると答えたのは4人に1人(26%)に上った。

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スイスに住む外国人、安全面は評価するも地元民に不満

このコンテンツが公開されたのは、 「世界最大の外国人ネットワーク」と称するインターネーションズが6日、外国人が住みたい国の人気ランキング「エクスパット・インサイダー」2017年版を発表した。外国人にとっての天国とは、安全レベルはスイス並み、レジャーの選択肢は南アフリカ並み、教師はフィンランド人、隣人はメキシコ人。逆に外国人にとっての地獄とは、安全レベルは南アフリカ並み、レジャーの選択肢はフィンランド並み、教師はメキシコ人、隣人はスイス人だ。

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 だが、逆の見方をすると、大部分はスイスでの雇用に満足しているということではないのか?

 ゼーック氏は「その通りだ」と同意する。「キャリアの先行きや選択肢に不満を訴える人はどこにでもいる。それがスイスでは過去5年間で順位が悪化しただけのこと。2014年の雇用の機会は14位だったが、現在は37位。仕事に対する満足度は21位から36位に下がった。大きな下落ではあるが、スイスは依然働きやすい国だ」

 また、スイスは従来と同様、言語関連(51位)、居心地の良さ(61位)、地元民のフレンドリーさ(64位)、友達作り(65位)と生活費(67位)でそれぞれ順位が低かった。

 「(外国人の間で)生活費が非常に高いと認識されている」とゼーック氏は言う。「世界平均の31%に比べ、スイスでは65%以上が生活費が高すぎると考えている。これは間違いなく障壁だ。だが同時に、スイスの世帯収入は世界のどの地域よりもはるかに高い。60%が少なくとも10万ドル(約1100万円)なのに対し、世界平均はわずか24%だ」

 さらに、家庭生活は2014年の20位から2018年には50カ国中34位と最も悪い結果となった。スイスの最大の弱点は、保育の選択肢(43%が否定的な回答)、利用可能かどうか(同61%)、そして費用(同74%)といえる。子供がいる家族に優しく接してくれる国だと答えた外国人の親は平均以下だった(16%が否定的な回答、世界平均は7%)。

 スイスに住む外国人の不満が以前よりも増えてきたのに対し、バーレーンに住む外国人は全面的に満足していると答えた。この中東の湾岸諸国は前回と同様、世界で最も外国人が暮らしやすい国に輝いた。そのすぐ下に付けているのが台湾、エクアドルだ。

 最下位はクウェートで、サウジアラビア、インドも不人気だった(総合ランキングに載るには居住先ごとに75人の回答者が必要)。

負のスパイラル? 

 外国人にとってスイスはますます住みにくい国になるのだろうか?改善するにはどんなことが必要なのか?

 「変えるのが難しいのは、(よその人を)歓迎する文化だ。スイス、ドイツ、オーストリアの人は、単にラテンアメリカやスペイン、ポルトガルほど温かく、オープンでフレンドリーではない」とゼーック氏は指摘する。

 「外国人を歓迎し、交流し、胸襟を開いて友達を作ろうとする心構えは(ランキングの上昇に)大いに役立つだろうが、政府がそこに関与することはできない。ただほかに方法がある。例えばスイスがランキング中盤にいる『デジタルライフ』。行政手続きをオンラインでできるか、携帯電話の取得、高速インターネットアクセス、キャッシュレス決済などがいかに簡単にできるかといったような点だ。これは外国人に大いに役立ち、しかも政府が直接手を打てる」

 ゼーック氏は来年のスイスの順位も今年同様低いとみる。「いくつかのカテゴリーにおいては、下にクウェートとサウジアラビアしかおらず、これ以上悪くなりようがない」とも話す。

 「しかし、スイスにも素晴らしい点はある。経済、環境、安全と安定性、健康と医療では良い評価を得ている。だから良いトレンドが戻ってくることを願っている」

2018年版「エクスパット・インサイダー(Expat Insider)」は、インターネーションズが2018年2月15日から3月7日にかけてインターネット上で調査を行った。

対象者は駐在員(国外に派遣された企業社員のことで、エクスパットの典型的な意味)、様々な理由から外国で生活・仕事をしている人、インターネーションズのネットワークのメンバー、その他一般の外国人。 

回答者は187カ国・地域に住む1万8135人。出身国は178カ国。

ある国がいずれかの指標、および総合ランキングに記載されるためには、その居住地に住む回答者が少なくとも75人必要。このルールが適用されない唯一の指標は家庭生活だ。子供を育てている参加者が40人いれば条件を満たす。

回答者の数が多いほど、ランキングに載る国の数が増える。今年の総合ランキングは全68カ国、家庭生活指数は50カ国だった。

回答者のうち女性は51%、配偶者・交際相手がいるのは66%。扶養が必要な子供のいない人は77%、大学の学位を持つ人は82%。平均年齢は44.2歳。

(英語からの翻訳・宇田薫)

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