麻しん(はしか)の急激な流行を受け、スイスの一部保育園が国内では初めて、麻しん・百日咳の予防接種を受けていない子供の入所を認めない規則を導入した。スイスの保育園はほとんどが民間経営で、連邦政府は「違法ではない」と話す。
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ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ツァイトゥング外部リンクが報じた。同方針を決めたのはスイス北東部で8カ所の保育園を運営する「Bubble Bees外部リンク」。
生後12カ月以降の子供が入所を希望する場合、はしかと百日咳の予防接種を受けたという証明書を提出しなければならない。両親がこれに応じない場合は、園側が両親と小児科医の面談の場を設ける。それでも意見が一致しなければ、入所を認めない。
Bubble Beesのスタッフも予防接種を受けることが義務付けられる。
同保育園ではワクチンを受ける前の生後3カ月から子供を預かる。このため月齢が大きいワクチン未接種の子供が登園すると、抵抗力の低い乳児の感染リスクが必然的に高くなってしまう。保育園運営会社の代表はゾンタ―クス・ツァイトゥングに「ワクチン接種を義務付ける規則を設けたことで、あえてうちを選びたいという親が増えた」と需要の高さを語る。
スイスの保育団体連盟キベスイス外部リンクによると、こうした規則は国内初。
スイスでははしかの感染件数が急激に増え、2019年は200件と、すでに昨年全体の4倍に達した。今後も増加が見込まれ、関係機関がワクチンの接種を呼び掛けている。
意識の欠如
スイス小児科医協会外部リンクのヤン・カーリク氏はゾンタ―クス・ツァイトゥングに対し、こうした問題の原因は、親が子供たちにわざと予防接種を受けさせない「反ワクチン」の態度以外にも存在すると指摘する。
その1つが、親たちがはしかの危険性を過小評価している点だ。過去10年で、はしかの問題はそれほど目立たず、注意が薄れてしまったという。同氏は「本来は必要な2回目の接種を忘れる、そもそも予防接種が必要だと気付かない人が出てきている」と話す。
連邦内務省保健局の担当者は、幼稚園・小学校と違ってほとんどの保育園が民間経営であるため、Bubble Beesの規則は合法だと話す。
また、これをきっかけに公の議論が活発になれば「他の保育園でも(感染の)リスクがどれだけ高いか注意を払うようになるだろう」と述べた。
欧州では10カ国以上が予防接種をすでに義務付けている。フランスは2018年に制度を導入。ドイツも義務化する予定で、違反した場合は罰金最大2500ユーロ(約27万円)のほか、退園を命じられる。
スイスでは現在、そのような国内規制を設ける議論は行われていない。
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