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スイスのハイキングは癒し系?

ハイカーの足元
Keystone / Melanie Duchene

スイス政府観光局が欧州周辺国をターゲットに、アルプスでのハイキング推進キャンペーンを展開している。近くて遠いヨーロッパの人々を呼び込むには、スイスの何をアピールすればいいのだろうか?

Nature wants you back――「自然は望む、あなたの帰還を」と題したキャンペーンは、スイス政府観光局が企画。スイス訪問者数を劇的に増やせそうなドイツやフランス、オランダ、イギリスの4カ国に狙いを定めた。比較的スイスに近く、文化的な共通点もあり、スイスに日帰りではなく数日間滞在する外部リンク人が多いことから、成果を上げやすいと踏んだ。

デジタル化され成果主義がはびこる現代社会で、アウトドアはどれだけ重視されているのか。観光局のキャンペーン外部リンクに当たり、事前調査を請け負った調査会社ソトモ(本社・チューリヒ)は、まずそれを理解する必要があった。成果が分かるのはこの夏が過ぎてからだ。

対象国で実施したアンケート調査では、アウトドアがどの国でも「とても重要」であることが分かった。だがその重要度は国によって多少異なることも浮かび上がった。

スイスのアウトドアは「穏やかな冒険」であり、「命がけの旅」ではない。ソトモのミヒャエル・ヘルマン氏は5月初め、調査結果の説明会でこう解説した。

アンケートは4カ国とスイスに住む5千人超が回答。会社でストレスの多い日々を過ごした後のリフレッシュとしてアウトドア、家の中、庭やバルコニー、街なかなど、どこでどのように過ごすと最も癒されるかを詳細に尋ねた。

アウトドア派はスイス人に多く、ドイツ人やフランス人の間では自宅派とアウトドア派が接戦となった。ソファに寝転んで動かない「カウチポテト族」は英国人だけで、仕事のプレッシャーから逃れる術を屋外に求める人は半数以下だった。

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だがスイスアルプスの観光業にとってより大切なのは、それほど活動的でないイギリス人を含め、ヨーロッパ人が「屋外にいるのを好む理由」とその内容だ。ヨーロッパ人にとってアウトドアは「自然を楽しみ、リラックスできる」場所なのだ。

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アルプスに泊まる場合にどんな宿を好むか尋ねたところ、熱いシャワーや心地よいベッドのない施設はお断り、との答えが多かった。この二つがあれば、携帯電話の通信圏内であるかどうかは取るに足らないことだ。

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ただスマートフォンに関していえば、どうでもいいと考える人、電源を落とす人は少数派。緊急時に助けを呼んだり、写真を撮ってソーシャルメディアでシェアしたりするのに不可欠だからだ。

朝焼けに浮かぶ人影
Keystone / Antthony Anex

アンケートでは「夢のハイキング旅行」のために行きたい場所は尋ねなかった。だがもし訊かれたとしたら、スイスは1位かそれに近いランクを得ただろう。スイスアルプスの至る所に絵葉書のような美しい村や山岳ホテルが広がり、たくさんの道路や登山道で繋がっているからだ。

だが、政府観光局は商機を逃さないためには、広報にまだ改善の余地があると話す。

広報のサブリナ・ブラック氏は「スイスでのハイキングがどれだけ安全で快適なものかや、公共交通機関でいかにたやすく登山道に行き着けるかは、さほど国外で知られていない。広報活動の中で、スイスは『穏やかな冒険』であるイメージを推していきたい」と話す。

数字で見るスイスハイキング

登山道の総距離は6万5千キロメートル

スイスの夏の観光客の6割が滞在中に1回以上ハイキングをする

スイスでハイキングする人の6割はスイス人。次に多いドイツ人(12.5%)を大きく引き離す

楽しいハイキング旅行に不可欠な3大要素は①素晴らしい眺め②好天③道しるべのしっかりした登山道

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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