がん再発防止や高齢者介護を考える日本人向けのセミナーが5日、ベルンの日本大使館広報文化センターで開かれた。日本人の専門家が講演し、20人弱が参加した。
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ベルン日本人会と日本大使館が共催。健康や老後の備えに意識を高めてもらおうと開いた。セミナーでは、リハビリ専門のちゅうざん病院外部リンク(同県沖縄市)に勤務する看護師で、食べ物をうまく食べられなくなる摂食・嚥下(えんげ)障害に詳しい加藤節子さんが登壇。高齢者の食のあり方を解説し、飲み込む力を保つトレーニングなどを紹介した。
名桜大学外部リンク(沖縄県名護市)の玉井なおみ上級准教授は、がんの再発予防について講演。がん予防としてウオーキングなどの運動を推奨した。
スイス在住日本人の自助団体ケアチームジャパン(本部・チューリヒ)の副代表で、スイスの高齢者施設に勤務するリッチャー美津子さんは、ボランティアから正式採用に至った経緯や、スイス人の同僚と行った日本での研修旅行での経験を語った。
ケアチームジャパンは、スイス在住日本人が将来高齢になったときに助け合うことを目的とした非営利組織で2002年にチューリヒで設立、ジュネーブに支部がある。同団体は日本の家族の遠距離介護も支援する。以前からベルン支部を立ち上げようという計画があり、ケアチームジャパンがバックアップする形で今回の講演が実現した。
講演会に来ていたブルンネン淑子さん(72)はスイス人の夫が5年間の在宅介護と半年の施設入院の末に最近亡くなり、日本の92歳の実母が介護施設に入ったばかり。「日本とスイスの介護施設は入居者の送り迎え一つとっても大きく違う。延命治療でも、スイスだと抗生物質を投与するのも逐一患者・家族の承認を取る。何が延命に当たるのか、こうも違うと悩んでしまう」などと話していた。
また在住歴5年の小西裕子さん(49)は「自分の身に何かあったらスイスに残るか日本に帰るかと悩む。スイスの方が代替医療の選択肢が広いような気はするが、ここでできること・できないことをよく見極めたいとは思う」と話した。
スイスインフォでは5日の講演をフェイスブックでライブ配信(前編外部リンク、後編外部リンク)した。
(以下は講演の映像です)
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