新型コロナウイルス感染対策をほぼ全面解除したスイス連邦内閣の決定に先駆けて実施された世論調査で、国民の半数がコロナ禍の収束に希望を抱く一方、来冬に新たな対策の発動を見込んでいることが分かった。
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「2年前にコロナ禍が始まって以来、危機の行方や収束について今回ほど楽観的な見方が出たことはない」。コロナ禍に関する第10回世論調査について、調査を受託実施したソトモはこう総括した。
慎重な楽観主義
今回は回答者のちょうど半数がコロナ禍について「とても楽観的」「どちらかといえば楽観的」だと答え、「とても悲観的」「どちらかといえば悲観的」は16%にとどまった。楽観論が21%まで落ち込んだ20年10月とは対照的だ。
だが慎重さもにじみ出た。回答者の大多数はコロナ禍が完全に幕を閉じたわけではなく、人々はインフルエンザウイルスと同じくコロナウイルスとも共生しなければならない、と考えている。
この調査は、swissinfo.chの親会社であるスイス公共放送協会(SRG SSR)の委託を受け、世論調査機関ソトモが実施した。コロナ禍に関する世論調査は2020年3月以降10回目。
調査は、2月4~13日に、全言語地域の3万3673人を対象にオンラインで実施。標本誤差は±1.2%。
回答者の51%は次の冬に新たな感染対策が発動されると考えているが、41%はそう見ていない。ソトモは「この新しい楽観論は、スイス国民の大半がコロナ前の状況に戻るとは考えていないことを意味する」と位置付けた。
感染対策の撤廃に賛成
スイス連邦政府は今月2日に感染対策の即時解除か段階的解除を提案外部リンク。州などとの協議を経て、16日にほぼ全ての感染対策を即時撤廃外部リンクすると決めた。この世論調査は、その間の同月4~13日に実施した。
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連邦内閣の16日の決定は世論の期待に沿うものだったと言える。ソトモは「今回の調査結果は、ほとんどの措置を終わらせることへの希望が国民の間に広がっていたこと示す」とコメントした。
感染対策の解除を拙速だと考えるのは28%にとどまる一方、39%はもっと早く解除してほしかったと答えた。
感染対策の解除が全般的に支持された一方、一部の措置については賛否ないまぜの結果となった。特にマスク着用義務に関しては解除に慎重な声が目立った。
回答者の53%はマスク着用義務の全面廃止に賛成したが、質問がより細かくなると継続を望む声が多くなっている。小売店では55%、公共交通機関では61%がマスク義務の継続を支持した。
連邦政府は医療機関や公共交通機関でのマスク着用義務を3月末まで維持する。この決定も概ね国民の希望に沿うこととなった。
政府主導に終止符を
こうした楽観論や国民の希望との一致を、連邦内閣は手放しで喜ぶわけにはいかなさそうだ。世論調査によると、連邦政府に対する信頼は上昇していない。政府の保健政策を信頼している回答者は45%と、昨年1月の最低値(33%)を上回るものの、同年10月の53%からは低下した。
コロナ禍が始まって以来、初めて過半数(52%)が連邦政府による保健行政の主導に終止符を打ち、州政府に管轄を戻すべきだと答えた。スイスで保健行政は州の管轄だが、20年3月以降、感染症法に基づいて連邦が主導している。一方で、政府に権力が集中しすぎていると考える人は26%と、依然として少数派だ。
長期的な影響
今回の世論調査は、コロナに対する人々の不安が徐々に薄まってきていることを浮き彫りにした。一方でコロナが長期的な結果をもたらすとの考えも広まっている。それが最も色濃く出たのは在宅勤務で、コロナを機に主流の働き方となったようだ。
(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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