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スイス相撲大会、五つのポイントから分析

ミス・スイス2016のロリアンヌ・サランさん(右)がスイス相撲の勝者に与えられる雄牛と一緒にポーズ Keystone

今日26日から3日間、第44回連邦シュヴィンゲン&エルプラーフェスト2016(スイス相撲・アルプス地方伝統スポーツ大会)が、ラ・ブロワ地方で開催される。3年ごとに催されるこの大会は、スイス最大のスポーツイベントであり、国民が一丸となって盛り上げる国家的な祭典でもある。この3日間で約25万人の観客が見込まれ、入場券はすでに完売した。

 スイスでは、あらゆるジャンルのフェスティバルや公演が開催されるが、その中でも、この第44回連邦シュヴィンゲン&エルプラーフェストは、スイス国民にとっても観光客にとっても、今年最大のイベントになるだろう。大会は、19世紀末以来、脈々と受け継がれてきた一大行事なのだ。その中でも、一番注目を集めるのは相撲大会だ。

1.圧倒的な規模

 この全国スイス相撲大会は、第一回の開催が1895年という長い伝統を誇る。以来1931年までは2年ごとに、それ以降は3年ごとに開催されてきた。2013年にベルン州・ブルグドルフで行われた前回の大会では、マティアス・ゼンパッハさんが勝利の栄光に輝いた。

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 大会はまた、15年ごとにフランス語圏で開かれる習慣だ。2001年はヴォー州のニヨン、1986年はヴァレー州のシオン、1972年はヌーシャテル州のラ・ショー・ド・フォンで行われた。今年の第44回大会の開催地にはフリブール州のエスタヴァイエ・ル・ラックが選ばれ、大会名も「エスタヴァイエ2016」に決まった。

 しかし実際には、エスタヴァイエから7キロメートル離れたヴォー州・ペイエルンが会場となり、ペイエルン空軍基地がその敷地を提供する。また、通常の民族衣装による伝統的なパレードの代わりに開会式が行われる。

 連邦シュヴィンゲンフェストは、スイス国内最大のスポーツイベントであると言って過言ではない。ブルグドルフで行われた前回の大会は、30万人の観客を動員したが、今回の大会でも25万人以上の観客が見込まれている。その他にも、2500万フラン(約25億9500万円)の予算、4千人のボランティア、90ヘクタールに及ぶ大会用敷地面積、2万のキャンプ場など、大会規模の大きさを物語る数字には事欠かない。

2.古くから伝わる伝統競技

 別名「半ズボン相撲」とも呼ばれるスイス相撲は、13世紀にすでにその存在が確認されている。もとは、主にアルプス地方の農民たちが行っていた。いったんはほぼ消滅してしまったものの、19世紀の国家意識の高まりと平行して、国技へと発展した。

 スイス相撲が「半ズボン相撲」と呼ばれるのは、選手たちが上衣の上から黄麻の半ズボンを着け、お互いに相手のズボンを掴みあって戦うからだ。取り組みは、おがくずを敷き詰めた丸い「土俵」の上で行われる。相手を投げ倒して、その両肩の肩甲骨を地面につけることができれば勝ちだ。試合の結果は、三人の審判が出す得点にも左右される。

 スイス相撲は、見た目の印象以上に洗練されたスポーツだ。頻繁に使用される技は五つだけだが、技の総数は百種類くらいある。

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戦いに挑む、相撲のヒーローたち

このコンテンツが公開されたのは、 2010年に開催されたスイス相撲大会(連邦シュヴィンゲン&エルプラーフェスト)に先がけ、このスポーツを詳しく解説する本が出版された。

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 連邦シュヴィンゲン&エルプラーフェストでは、相撲の他にも二つのスポーツが行われる。そのうちの一つは、石をできるだけ遠くに投げる「石投げ」だ。これには複数のカテゴリーがある。助走をして20キログラムの石を投げるもの、助走はせずに40キログラムの石を投げるもの、助走の有無に関わらず「ウンシュプンネンの石」として知られる83.5キログラムの巨石を投げるものの三つだ。(ちなみに「ウンシュプンネンの石」の名前は、ベルン州インターラーケンの上方にある草地に由来する。)

 もう一つの種目ホルヌッセンは、ゴルフと野球をミックスしたようなチームスポーツだ。まず攻撃チームの選手が、ホルヌス(ドイツ語でモンスズメバチの意)と呼ばれる小さい円盤状の球を、長いしなやかな竿で打って飛ばす。守備チームの選手たちは、飛んできた球を木製のラケットで制止して遮る。球が遮られることなく地面に落ちれば、守備チームの失点となり、この失点が攻撃チームのスコアを決める。

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3.入場券は完売

 相撲大会が行われる競技場の広さは、国内の(臨時)スタジアムの中では最大で座席数は5万2016席もあるが、チケットはすでに「完売」した。5月のチケット販売開始日には、一般向けの4016席が2時間弱で売り切れた。

 だが、チケットを持っていない観客も、現地の巨大スクリーンで大会を観戦できる。また、石投げとホルヌッセン(共にスイスの国技)の競技場には、チケットなしで誰でも入場が可能だ。

 開会式や九つの会場で行われる文化的な催し物もチケットは不要だ。

4.スポンサーにちやほやされるアマチュアたち

 全国スイス相撲大会は、一般向けのアマチュアの祭典であることをモットーとしている。そのため、競技の参加者たちに賞金を与えるのは論外だ。伝統に従い、「相撲の王者」に贈呈されるのは、1頭の雄牛だ。また参加選手たちは全員、「賞品」の中から何か一つを選ぶことができる。

 しかし、アマチュア精神の側面が深刻に損なわれていることは、スポンサーたちの存在が目立つことからも明らかだ。もちろん、資金を集めるためにスポンサーは欠かせない。大会の開催費用は、今日では2500万フランにも及ぶからだ。

 大会がメディアで大きく取り上げられ、商業化された催し物へと変化を遂げている点は批判の的になっている。この点については、スイスインフォでも3年前ベルグドルフ大会が行われた際、すでに指摘している。

5.理想化されたスイス?

 一般に国家的な祭典は、それがスポーツであれ文化的なものであれ、社会学的な意味を持つ。それは特に、国民が一丸となって盛り上げる機会であり、「永遠に続く」スイスを称える式典になるからだ。

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時代を超え受け継がれるもの

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 しかし、この伝統的で地方色の濃いスイス・アルプスのスポーツイベントは、政治的に見て中立でないという意見もある。大会は、基本的に保守右派が理想化するスイスのイメージと切り離せないというのだ。2013年のベルグドルフでの大会後、一部のメディアは、「スイスのステレオタイプ化された演出」と指摘して大会を批判した。

日本の相撲と似ているようでかなり違うスイス相撲。この相撲を中心に、共に国技である石投げとホルヌッセンを含む国家的祭典が今日26日から始まる。この大会についての皆さんの意見をお寄せください。



(仏語からの翻訳・門田麦野 編集・スイスインフォ)

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