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スイスの山岳地域で洪水、都市部でも浸水

大雨でベルン州ミトホルツの道路が崩れ、フルティゲンとカンデルシュテークの間は不通に。2005年の洪水時に並ぶほどの被害が出た Keystone

豪雨と高温による大量の雪解け水の発生で、ベルナー・オーバーラント地方は10月10日、スイスでは稀に見る大洪水に襲われた。この被害により、各地で交通が遮断された。

同日夜までの報告によると、けが人や死者は出ていないもよう。降水量も減り、夜にはヴァレー/ヴァリス地方や中央スイス地方で状況はひとまず落ち着いた。しかし、アーレ(Aare)川など中央平野部を流れる川では水位が上昇している。

 ベルン州ガステルンタール(Gasterntal)ではインフラの3分の2が破壊され、住民全員が避難している。ミトホルツ(Mitholz)でも、道路トンネルを通って大量の水が押し寄せたため、10日夜に住民に避難命令が出された。

 レガ航空救助隊(Rega)は、スイスアルペンクラブ(SAC)、消防隊、警察などの協力を得、同日午後から夜にかけて、ベルナー・オーバーラントの被害地域からおよそ50人を救出。中には家屋上階のバルコニーに救助用ウィンチを下ろし、ヘリコプターに直接引き上げられた人もいる。

 ベルン市では同日夜までにアーレ川の水位が約2メートル上昇したが、氾濫はしていない。川近くのマッテ地区(Mattequartier)では地下室が浸水し、ポンプで水が汲み上げられた。沿岸のシュヴェレンメッテリ(Schwellenmätteli)とシュタウヴェーア・エンゲハルデ(Stauwehr Engehalde)間の道路は当面通行止めとなる。

 一方、トゥーン湖周辺では11日早朝まで被害は認められていない。

 大きな被害

 国営テレビ局ドイツ語放送の気象台SFメテオ(SF Meteo)によると、ベルン州アデルボーデン(Adelboden)では12時間強で約60ミリメートルの降雨量を記録。グリムゼル(Grimsel)では70ミリメートルに及んだ。これに加え、数日前に降った雪が高温で溶け出し、川の水が河岸からあふれ出した。

 また、連邦環境省環境局(BAFU/OFEV)はカンデル(Kander)川とリュチネ(Lütschine)川で100年に1度しか見られないほどの大量の水量を計測した。

 フルティゲン・ニーダージメンタール(Frutigen-Niedersimmental)はとりわけ被害が大きく、クリスティアン・ルビン村長はスイス国営テレビドイツ語放送のニュース番組で、被害額は間違いなく数百万フラン(数億円)に及ぶだろうと語った。

洪水警報発令

 環境局は10日午後、トゥーン湖とアーレ川沿岸部に「洪水警報3」を発令した。このレベルは洪水の危険性が相当高いことを示すもので、河川や湖では一部で水が流出する可能性が高くなる。このレベルが発令された際、近くの住民は車両を安全な場所へ移動させ、家屋を洪水から守る手立てを講じなければならない。

 11日早朝の時点では、アールガウ州のアーレ川とリマト(Limmat)川の合流地点やライン川で水位がかなり上昇していたが、夜中に比べると状況は落ち着いているという。中央スイスでは河川の水位は下がっている。

 ヴァレー/ヴァリス州では10日夜以降、新たな被害は報告されていない。ローヌ(Rhone)川の水位が上昇しているほか、シエール/ジダース(Sierre/Siders)で小規模の洪水が発生した程度。だがこれより前に、レッチェンタール(Lötschental)やガンペル・シュテーク(Gampel-Steg)地域で大きな被害が出た。

交通機関

 ベルナー・オーバーラント、カンデルタールの状況はまだ不安定で、フルーティゲン(Frutigen)とカンデルシュテーク(Kandersteg)間の鉄道は不通となっている。

 ラウターブルンネン(Lauterbrunen)へ通じる道路は昨晩通行止めが解除された。しかし、ツヴァイリュチネン(Zweilütschinen)間では鉄道がおよそ10日間不通となる見込みで、現在バスが運行されている。また、ブリエンツ(Brienz)とマイリンゲン(Meiringen)間の鉄道も不通となっている。

 一方、ザンクト・シュテファン(St. Stephan)とレンク(Lenk)間、およびインターラーケン(Interlaken)とグリンデルヴァルト(Grindelwald)間の鉄道は運行が再開された。

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