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スイスで牧師の給与が高いのはなぜ?

2016年6月のゴッタルドベーストンネル(基底トンネル)開通を祝福するカトリック教会の司祭とプロテスタント教会の牧師 Keystone

スイス・チューリヒ州では高所得者に位置づけられているプロテスタント教会の牧師だが、その給与は一体どれくらいなのか?

 チューリヒ州経済労働局が先月公開した給与に関する年次報告書では、パン職人から政治家まで、あらゆる職種の初任給を知ることができる。

 同報告書によるとチューリヒ州の牧師の月給は9084フラン(約101万7800円)で、スイス軍の将校、土木技師、ジャーナリストよりも高い。しかし給与が高い一方で、牧師の1週間の労働時間は48時間と、一般的なフルタイム労働者の週40時間労働よりも8時間多く働いている。また、カトリック教会の司教の場合、週の労働時間は42時間で月収は8595フラン。教区民を訪問したり式典に出向いたりすることが多い聖職者の労働時間は、通常よりも長い傾向にある。

 聖職者の給与は週によって異なると指摘するスイスの聖職者団体のウェルナー・ネフさんは、聖職に就くためには5年かけて修士号を取得する必要があり、正規雇用までは月収2500フランの研修生として仕える必要があると話す。

 国際的に見ると、チューリヒ州の牧師の給与は確かに高いと言えるが、ドイツ語圏の他の州では牧師の給与は同州よりも20%以上低く、フランス語圏ではもっと低いとネフさんは言う。

 さらに、チューリヒ州経済労働局の年次報告書に挙げられている数字は「代表的な金額ではない」と指摘するネフさん。昔は、週に50時間以上働く牧師の給与は大学進学コースのクラスを担当する高校教師と同じくらいと言われていた。しかし、その頃に比べて今では牧師の給与は全般的に下がったとネフさんは話す。

 スイスの教会は、州の税制を通じて直接徴収する税金で資金を賄っている。住民は州当局に信仰する宗教を申告し公的に認証されている場合、州に税金を納める仕組みとなっている。

 スイスの給与は一見多額に見えるが、スイスは生活水準も世界で最も高い国の一つであることも考慮する必要がある。次のグラフィックは一般的な中間層家庭の収入と支出の一例を示している。

swissinfo.ch


(独語からの翻訳・説田英香)

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