レストランでの食事代、映画のチケット代、帰りのタクシー代が最も高い都市は―?ドイツ銀行がまとめた価格と生活水準に関する国際ランキングの2019年版で、スイスは複数の項目で首位を占めた。
このコンテンツが公開されたのは、
ドイツ銀行が毎年発表する「マッピング・ザ・ワールド・プライス外部リンク」は世界の主要54都市を部門別に比較。今月16日に発表された2019年度版では、チューリヒが総合指標「生活の質」でトップに躍り出た。前年1位のウェリントン(ニュージーランド)は2位に順位を下げた。
また、チューリヒはデートにかかる費用を比較する「チープ・デート」部門でも1位を獲得した。同項目では2人分の映画チケット代、ソフトドリンク代、簡単な食事代、グラスビール代、タクシー代の合計金額を比較。チューリヒは202.7ドル(約2万2千円)で「群を抜いて高く」、次にオスロ(163.9ドル)、コペンハーゲン(157.8ドル)、ヘルシンキ(150.5ドル)、東京(148.3ドル)と続いた。最も安かったのはカイロで、チューリヒの5分の1にあたる41.9ドルだった。
以下、チューリヒの価格がトップ1~3にランクインした(デート時に必要になるかもしれない)アイテム9つを示した。
スポーツシューズ(1位)
151ドル
チューリヒでは、アディダスやナイキなど人気ブランドのスニーカーを1足購入するだけで、お財布の現金を使い果たしてしまうことも十分ありえるようだ。2位はコペンハーゲン(133ドル)。ロンドンは102ドルで17位、モスクワは90ドルで34位、マドリッドは82ドルで43位にランクインした。東京は76ドルで46位だった。
ジーンズのリーバイス501(1位)
120ドル
チューリヒが再び1位。リーバイス501はパリで買うと101ドル(7位)、ローマだと88ドル(16位)。米国は差が大きく、サンフランシスコでは74ドル(28位)、ニューヨークでは56ドル(39位)、ボストン(45位)とシカゴ(同)では50ドルだった。東京はニューヨークとほぼ同じ58ドル(38位)。
映画チケット(1位)
19ドル
2位のロンドンや3位のニューヨーク(ともに約17ドル)など、字幕や吹替作業のいらない英語圏とそれほど差がないと考えると、チューリヒの19ドルは悪くない価格かもしれない。しかもスイスの場合、字幕はドイツ語とフランス語の両方が同時に出てくる。東京は15ドルで、4位のコペンハーゲン(16ドル)に続き5位にランクインした。
タクシー代(8キロ分/1位)
38ドル
こんなに高いなら、チューリヒで夜に外出した後は、最終電車やトラムを絶対に逃したくない。2位のアムステルダム、3位の東京(ともに28ドル)よりも遥かに高い。サンフランシスコ(16位)やニューヨーク(同)は19ドルで、チューリヒの半額。リスボン(34位)は11ドル、メキシコシティ(49位)は5ドル。
「近所の居酒屋」のスタンダードな食事、2人分(1位)
72ドル
食事はそうでも、価格はスタンダードではないらしい。次に続くのはオスロ(65ドル)、香港(59ドル)。ドイツ語圏のベルリンやウィーンはともに33ドルで31位にランクインした。スイスのソーセージの何がそんなに特別だというのだ。
イタリアンレストランのフルコース、2人分(2位)
110ドル
クラシックなイタリアンレストランでのディナー代で、唯一チューリヒより高かった都市はニューヨーク(118ドル)。本家のイタリアでは87ドルのミラノが13位で最も上位につけた。ローマは26位で66ドルだった。ちなみに英BBCは過去、スイス・イタリア語圏で「スパゲッティの木からスパゲッティが大豊作」との偽の報道を行ったのはご存じだろうか。
男性のヘアーカット代(3位)
41ドル
1位はコペンハーゲン(48ドル)、2位はオスロ(45ドル)。共に12位のボストンとニューヨークは28ドルで、34位の上海は14ドルだった。これでもチューリヒやジュネーブで女性が毛先をそろえる程度のカット代と比べれば安い。
夏のワンピース(2位)
67ドル
比較対象はZaraやH&Mなどの小売店で買える夏のワンピース1着分の値段で、1位はサウジアラビアの首都リヤドで68ドル、次にチューリヒとドバイが続いた。10位のモスクワでは同じワンピースが50ドル、41位のストックホルムでは38ドル、48位のマドリッドでは32ドルと、ぐっと割安だ。
週末の小旅行(3位)
2104ドル
5つ星ホテル宿泊代(2泊)、2人分の軽食代(2回)、レストランでのディナー代(2回)、レンタカー代(2日)、ビール代(2パイント)、ソフトドリンク代(4リットル)、買い物代(ジーンズ1着とスニーカー1足)の合計金額を比較した。飛び抜けて高かったのはミラノの2706ドル。2位はコペンハーゲン(2120ドル)だった。日本は東京が23位(1407ドル)にランクインした。
一方、給与の項目でチューリヒは首位をサンフランシスコに明け渡した。平均的な1カ月の給与を比べるとサンフランシスコは6526ドル、チューリヒは5896ドルだった。
下のグラフはスイスの平均的な家計。
(英語からの翻訳・編集 大野瑠衣子)
続きを読む
おすすめの記事
生活費の高い都市ランキング 大阪1位、チューリヒ5位
このコンテンツが公開されたのは、
英調査機関の「世界で最も生活費が高い都市ランキング2020」で、チューリヒとジュネーブは今年もトップ10にランクインしたが、どちらも昨年から順位を下げた。新型コロナウイルスの全体的な影響は、まだ見られない。
もっと読む 生活費の高い都市ランキング 大阪1位、チューリヒ5位
おすすめの記事
スイスの物価が高いのは、製造業が国内市場により高い価格を付けているから?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの製造業者が国内市場の顧客に対し、海外市場よりもはるかに高い価格を設定していることが最新の価格比較調査で分かった。スイスと欧州連合(EU)の価格差は縮小傾向にあるが、スイスの消費者の多くは「ぼったくりだ」と感じている。
もっと読む スイスの物価が高いのは、製造業が国内市場により高い価格を付けているから?
おすすめの記事
物価の高いスイス 節約術教えます
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは物価が高い。それは周知の事実だ。でも、バーゲンなどを利用すればお得に買い物ができる。スイスで出費を抑えるにはどうしたらいい?スイスインフォが読者から寄せられた、とっておきのヒントを紹介する。
もっと読む 物価の高いスイス 節約術教えます
おすすめの記事
チューリヒ、ジュネーブが「世界で最も生活費が高い都市」4位、5位
このコンテンツが公開されたのは、
お財布に優しいレクリエーションや娯楽がいいなら、チューリヒやジュネーブは避けるべき―。英調査機関の「世界で最も生活費が高い都市ランキング2019」でチューリヒとジュネーブがトップ5入りし、レクリエーション・娯楽部門でうれしくない世界一を獲得した。
もっと読む チューリヒ、ジュネーブが「世界で最も生活費が高い都市」4位、5位
おすすめの記事
スイスでスパゲッティが大豊作?! 偽映像、誕生の裏側
このコンテンツが公開されたのは、
有名なエイプリルフール映像の一つとして知られているスイスでのスパゲッティ収穫。この映像の生みの親の一人、スイス観光局広報部長アルベルト・クンツさんにその誕生の瞬間について話を聞いた。
もっと読む スイスでスパゲッティが大豊作?! 偽映像、誕生の裏側
おすすめの記事
拝見!スイス人の家計簿
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの世帯収入は月1万33フラン(約114万円)。うち2909フランが税金や社会保険料などに消え、残る7124フランでやりくりすることになる。さてその支出先は?
もっと読む 拝見!スイス人の家計簿
おすすめの記事
世界一高いステーキは信頼のスイス産
このコンテンツが公開されたのは、
なぜスイスの肉は世界一高いのか―畜産農家、消費者団体、食肉業界の専門家にそれぞれの意見を聞いた。
もっと読む 世界一高いステーキは信頼のスイス産
おすすめの記事
スイスの肉はなぜ高いのか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランで隣国のドイツよりも2倍の価格を提示され、驚く人は多いだろう。世界貿易機関(WTO)によると、その大きな価格差の理由は食品への高い関税にあるという。
昨年の輸入農産物の関税率は平均30%以上。WTOの5月の報告書によると特定の野菜や肉製品、酪農品によっては関税率が100%のものもみられたという。
食品と飲料の高い関税率は、隣国の農家よりも比較的小規模であるスイスの農家を保護するためだ。
もっと読む スイスの肉はなぜ高いのか?
おすすめの記事
国境沿いの町、我慢の限界 ショッピングツーリズムで打撃
このコンテンツが公開されたのは、
物価が高いスイスでは、国境をまたいで隣国で買い物をするショッピングツーリズムが盛んだ。しかしその裏では、例外はあるにせよ、売り上げ減に悩むスイスの小売店が増えている。
もっと読む 国境沿いの町、我慢の限界 ショッピングツーリズムで打撃
おすすめの記事
ショッピングカートの中身を比較 お買い得な国は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインフォがスイスと隣国フランスのスーパーマーケットで食料品14品を対象に実施した簡易調査で、同類の商品を両国で購入した場合、スイスの総額がフランスに比べ91%も高かったことがわかった。
もっと読む ショッピングカートの中身を比較 お買い得な国は?
おすすめの記事
物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
このコンテンツが公開されたのは、
スイスには価格監督官という公職があるのをご存知だろうか。消費者にとって不利益になる不当な価格と闘うことが仕事だ。価格監督官とは何者なのか。価格を下げる余地はどこにあると考えているのだろうか。2008年から価格監督官を務めるシュテファン・マイヤーハンス氏(49)に話を聞いた。
もっと読む 物価の引き下げに奮闘する連邦価格監督官
おすすめの記事
スイスの最低賃金は40万円台が妥当?
このコンテンツが公開されたのは、
他の多くの欧州諸国と異なり、スイスには全ての職業に共通する最低賃金が設定されているわけではない。それは職業ごと、州ごとに決まっている。果たして「フェアな最低賃金」はいくらなのか、繰り返し議論の的になっている。
もっと読む スイスの最低賃金は40万円台が妥当?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。