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マリ共和国で誘拐されていたスイス人、釈放

釈放されたスイス人女性は4月24日、ブルキナファソのギルバート・ディーンデア少佐と共に同国に到着した AFP

マリ共和国で今月15日、スイス人女性がイスラム系武装組織に誘拐されていた事件で、連邦外務省(EDA/DFAE)は24日、女性が無事釈放されたと発表した。

外国の危険地帯に足を踏み入れるスイス人が後を絶たないことを受け、スイス政府は国民に、「外国に行く際は、身の安全は自分で守るように」と注意を促している。

 釈放されたのは、バーゼル出身で40歳前後の女性。マリの都市トンブクトゥ(Timbuktu)で数年間、キリスト教の宣教師として働いていた。

 現地の保安当局によると、女性を誘拐したのはイスラム系武装組織アルカイダの北アフリカ系勢力AQIM(Al-Qaeda Organization in the Islamic Maghreb)。女性をトンブクトゥから連れ出したが、誘拐してから約1週間後、別の武装組織アンサー・ダイン(Ansar Dine)と衝突。銃撃戦後、女性はAQIMからアンサー・ダインのメンバーに引き渡された。その後、アンサー・ダインはフランス国際放送サービス(RFI)のインタビューで、女性を釈放する意向があると発表。ただし、釈放にはこの女性が二度とマリに戻ってこないという条件が付けられた。

 釈放の条件に関する話し合いが終了した後、女性はヘリコプターで隣国ブルキナファソに運ばれた。連邦外務省とアンサー・ダインによれば、身代金の要求や支払いはなかったという。女性は釈放後もトンブクトゥに残りたいと話している。

 マリでは誘拐が多発しているため、スイスの連邦外務省は2009年から国民に対し、マリへの渡航自粛を促している。マリでは今月初めにアンサー・ダインがトンブクトゥを掌握した後、ほとんどのヨーロッパ人がマリ北部から脱出していた。

相次いで誘拐されるスイス人

 今回の事件のように、最近スイス人が外国で誘拐される事件が多発している。今年3月には、パキスタンで誘拐されていたスイス人夫婦が9カ月後に釈放された。だがその直後に、中東のイエメンでスイス人のNGO職員が誘拐されている。その後もフィリピンでスイス人旅行者が誘拐されており、メキシコでは1人行方不明となっている。

 スイスのディディエ・ブルカルテール連邦外務大臣は「誘拐産業」を批判する傍ら、「(外国の危険な地域へ渡航する人は)自己安全をよく考えてほしい。(スイス国民に危険が迫っていても)国ができることには限界がある」と述べ、危険地域への渡航に注意を促している。また国は、スイス国民を外国で救出する際、それにかかった費用を本人に請求するとしている。

日本の外務省ホームページによると、北西アフリカ地域における外国人誘拐事件がここ数年多発しており、イスラム系武装組織アルカイダの北アフリカ系勢力AQIM(Al-Qaeda Organization in the Islamic Maghreb)が事件に多く関わっているとみられる。

2011年の1年間だけでも以下の誘拐事件が発生している。

ニジェールでは2011年1月、フランス人男性2人が誘拐され、その後遺体で発見された。

アルジェリアでは2011年2月にイタリア人旅行者が、10月にはスペイン人2人とイタリア人1人が誘拐された。

ナイジェリアでは2011年5月、イギリス人とイタリア人の建設会社従業員2人が誘拐された。

マリでは2011年11月、フランス人の地質学者2人が誘拐され、同月には別の地域でスウェーデン人、オランダ人、イギリス人が誘拐され、ドイツ人とみられる1人が殺害された。

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