不法滞在の若者にも見習い職を
中学を終了した不法滞在者の見習い職への就業が、3月3日の国民議会で、93票対85票で承認された。今後審議は全州議会に移される。
スイスでは不法滞在者の子どもでも中学までの義務教育は受けられる。しかし、その後見習いや職業訓練に就くことは許可されていない。
問題を先送りか?
こうした義務教育を終えた若者が何もせず町にたむろする現実は、スイスの多くの都市で問題になっており、今回一つの解決策が決定された。
「欺瞞 ( ぎまん ) に終止符を打つ時が来た。正式な滞在許可書証のない若者で中学を終了したが、許可証がないので見習い職に就けないというのは不当だ。またこうした若者が通りをぶらつく方が、見習い職を与えるよりもっと高くつく」
と、ジュネーブ州のキリスト教民主党 ( CVP/PDC )議員、リュック・バルタサ氏は主張し、結局国民議会 ( 下院 ) はこうした若者に見習い職を与えることに賛成した。
しかし、問題を抱えるヴォー州の州内務官のフィリップ・ロウバ氏は
「これは、問題を先送りするだけだ。たとえ見習いを終えても、滞在許可証がなければ職には就けない」
と反対する。
一方、ヴォー州の緑の党 ( GPS/PES ) 議員、クリスチャン・ファン・シンガー氏が国民議会に提案した、こうした若者に滞在許可願いを提出する可能性を与える発議は却下されている。
エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ司法警察相はこうした動きに対し
「確かに見習い後の若者に職探しの問題が残るが、だからといって不法滞在者に簡単に滞在許可証を出すわけにはいかない。ぞれぞれのケースで解決策を見つけていくのが最良の方法だ」
と述べている。また、州によってはこうした不法滞在者が仕事に就いた場合、密かに老齢・遺族年金 ( AHV / AVS ) の積立を認めている事実を違法だと指摘し、今後、連邦司法警察省はこの問題を検討していくとも語った。
外電、swissinfo.ch
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