スイスのお医者さんは政府の健康保険改革を好ましく思っていないようだ
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スイスの医師140人は皆保険である健康保険から年間150万~170万フラン(約1億7400万~1億9700万円)の支払いを受けている。
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健康保険の業界団体「サンテスイス外部リンク」のヴェレーナ・ノルド会長が、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)の番組内で明かした。ノルド氏によると、経費を4割と見積もると該当する医師個人の収入は百万フラン単位に上る。
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スイスには約4万人の医師が登録されているが、こうした高額の収入を得ているのはごく一部。主に放射線科が高収入で、胃腸科、眼科、泌尿器科が続くという。
政府の診療報酬改革には反発
スイスの医師の収入は極めて不透明で、平均所得を割り出すのは難しい。チューリヒ州経済・労働局の調べによると、病院長の収入は月額1万2824フラン。
連邦政府は年間100億フランに上る専門医への支払いに歯止めをかけようと、診療報酬体系を改革する方針だ。年間7億フランを抑制し、患者に対する料金の透明性を高める。
だが病院関連団体は改革案を拒否。医師や健康保険会社も強い懸念を示している。
1月末、連邦内務省保健局の実施した外来料金の引き下げに反発し、ジュネーブ州の外科医たちが部分ストライキを起こした。スイスでは異例だ。
医師らは手根管症候群の手術などを拒否。RTSによると、この20分間の手術ではこれまで、外科医に177フランが支払われていたが、1月の新料金体系では105フランに引き下げられた。
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RTS/ac
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