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人気のある名前はルカとララ

ベビーブーム:2009年にはルカとララが多く誕生した RDB

昨年スイス全体を総合して人気のあった男の子の赤ちゃんの名前はルカとナタンだった。女の子の名前では、ララがトップとなった。

8月9日に連邦統計局 ( BFS/OFS ) が発表した2007年から2009年の名前の人気ランキング・リストは、大衆文化がスイス人の親に多大な影響を及ぼしていることを示している。

ビル・コスビーのアドバイス

昨年7万8286人の新生児誕生の届け出があった。これは7分毎に1人弱が誕生した計算になり、一昨年の7万6691人を上回る。

そのうち4万407人が男の子で、3万7879人が女の子だった。この男女比は、女子100人に対し男子106人となり、国際的な平均値と一致する。

ドイツ語圏では、「光をもたらす者」を意味するルカ ( Luca ) がついにトップになった。2年前の発表では第3位、昨年の発表では第2位だったが、今回は、レオン ( Leon ) とニコ ( Nico ) を抜いてトップの座に躍り出た。首位を奪われたティム ( Tim ) は第6位に急落した。

 女の子の名前の中では、「陽気な者」を意味するララ ( Lara ) が、ローラ ( Laura ) やミア ( Mia ) を引き離した。それらの後にはレオニー ( Leonie ) 、サラ ( Sara ) 、レア ( Lea ) 、レナ ( Lena ) 、アンナ ( Anna ) 、ジュリア ( Julia ) 、ニーナ ( Nina ) が続き上位10位に入っている。スイス人は明らかにアメリカのコメディアン、ビル・コスビーのアドバイス「母音で終わる名前を選べば、名前を叫んだときによく通る」を取り入れているようだ。

フランス語圏では、男女どちらとも首位に変化はない。男子名ではナタン ( Nathan ) がルカ ( Luca ) とノア ( Noah ) を、女子名ではエマ ( Emma ) がララ ( Lara) とクロエ ( Cloé ) を上回った。

イタリア語圏の男子名は、レオナルド ( Leonardo ) 、マテオ ( Matteo ) が、女子名ではジューリア ( Giulia ) 、ソフィア ( Sofia ) の人気が高い。

人口3万5000人のロマンシュ語圏に誕生した数少ない赤ちゃんの名前は、大きな変化を見せた。昨年の男子名は、レアンドロ ( Leandro ) 、リヴィオ ( Livio ) 、ナンド ( Nando ) 、ニコ ( Nico ) の4つがトップになった。そして最も人気の高い女子名はララだった。

ハロー?

サラ、マーラ ( Mara ) 、ヤラ ( Yara ) もまた人気のある女子名だが、ララの引き続いての幅広い人気は、写真うつりの良いスイスのアルペンスキーヤー、ララ・グート の活躍が理由のようだ。2007年のスキー界に登場したララ・グートは、2009年の世界選手権で銀メダルを二つ獲得した。

男子名リオネル ( Lionel ) の急上昇は、スポーツ選手の活躍で説明がつくかもしれない。世界サッカー界の2009年の最優秀選手は、FCバルセロナに所属するアルゼンチン人選手リオネル・メッシだった。リオネル・メッシまたは歌手のライオネル・リッチーは、自分たちの名前が控えめながらもスイスで再び人気を呼んでいることを喜んでいるかもしれない。

ディエゴ ( Diego ) の人気が40位から26位に上昇したのは、W杯の素晴らしい試合が理由かもしれない。しかしスイスチームの監督オットマー・フィッツフェルト氏の名前はまだ新生児の人気名前リストには揚がっていない。

「大衆文化は確かに一因となっている」と連邦統計局の人口統計部のマルセル・ハイニガー 氏は指摘する。
 「数年前の例では、突如トップ10に登場したミス・スイスの名前フィオナ ( Fiona ) があります」

しかし今回フィオナは20位から25位に下落した。おそらくこれはフィオナという名前が、元ミス・スイスよりも映画「シュレック」の怪物フィオナ姫を連想させるようになったせいかもしれない。

ハイニガー氏は、セレブの子どもの名前や、映画の登場人物の名前が影響することは多いと言う。そして1990年代にトップを占めた名前の一つで、映画「ホーム・アローン」でマコーレー・カルキンが演じた主人公の名前ケビン ( Kevin ) を例に挙げた。

しかしケビンの人気は全盛期を過ぎ、2009年にランキング・リストから消えた。インド系イギリス人作家サルマン・ラシュディは
「ひとたび一般化した名前は急速にただの音となり、地球上の数多 ( あまた ) の驚異と同様、その語源は慣習という埃の下に葬られる」
 と述べている。

短くなった名前

しかし、赤ちゃんの名前の人気を科学的に正確な予測をすることはできない。スイスインフォは昨年マイケル・ジャクソンの死が、スイス中の保育園でムーン・ウォーキングの波を引き起こすことになると予測したが、その通りにはならなかった。マイケル、マイク、ミッキー、そしてジャクソンのいずれも上位50位に入らなかった。

テニスのスター選手ロジャー・フェデラーの1歳になる双子の娘マイラ ( Myla ) とシャーレーン ( Charlene ) にしても同様だ。父子両方の名前ともまだランキング・リストのどこにも登場しておらず、スポーツが子どもの命名に影響するという主張の反証となっている。

ハイニガー氏は、最近の傾向として「ハンス・ペーターやエリザベスのような長くて古い名前からララやアンナなど数文字から成る、世界中で使われている国際的な名前」への移行を指摘する。これは短い名前の方が携帯電話でメッセージを送ったときに見やすいせいかもしれない。

モハメッド ( Mohamed ) はヨーロッパの他の国々で最も多い男子名となったが、ハイニガー氏は、スイスでは移民が命名に大きな影響を与えているようには見えないと言う。

「スイスで誕生する子どもの数を見れば、依然としてその大多数はスイス人です。従ってモハメッドが上位50位に食い込むことはありません。しかしこれはもちろんスイスに移民が存在しないと言うことではありません。例えば1つか2つしかない名前があるのは、タミル人の名前だったためというように、スイスには多数の国の名前がありバラエティに富んでいるのです」

伝統

元来スイス人は伝統的な名前や、聖書に登場する名前を選ぶことが多かった。

変わった名前を選ばなかった理由の一つは、それが不可能だったからだ。地元の登記局が不適切とみなした名前は承認されなかった。花の名前を命名することは許可されていたが、物の名前を使うことは禁止されていた。

約10年前に起きた比較的よく知られているケースでは、有名なスイス人ミュージシャンのクリスティネ・ラウテルブルグ が自分の娘を「レキシコン ( Lexikon / 辞典 ) 」と名づけようとしたが、地元の登記局に拒否された。

2009年6月に州政府の組織が移民のバックグランドを持つ人々のためにキャンペーンを開始した。当局は、それらの人々が帰化のプロセスの一環として支障なく氏名変更をできるようになることを望んでいる。調査によると、外国名、特にバルカン地域の名前でスイスに住む場所を見つけることはより難しく、職探しも同様だ。

アメリカで名前を正式に変更することは容易だが、スイスでは決して簡単ではない。

まず、民法 ( 第30条 ) に則り「重要な理由」が存在しなければならない。何が重要かは、該当する州政府当局によって決定される。

連邦裁判所は、過去の経歴を隠すために名前を変更することはできないとも規定しているが、「ばかげた、不快な、侮蔑的な」名前、または「常に攻撃の対象となる」名前は変更できる可能性が高い。

名前のせいで前進できないという不安は十分な理由と見なされない。

しかし現在では他地域の登記局も、「子どもの利害を損なわないと考えられる名前に限り、基本的に親は子どもの名前を自由に選択することができる」とするチューリヒの市民戸籍局の決定にならっている。

スイス当局ならばイギリス人シェフのジェイミー・オリバーのケースをどうするだろうか? このセレブ・シェフのロースト料理には沢山のファンがいるが、幸運なことに彼の子どもたちの名前を真似する人々は少ない。来月彼の3人の娘たち、ポピー・ハニー ( Poppy Honey ) 、デイジー・ブー ( Daisy Boo ) 、ペタル・ブロッサム ( Petal Blossom ) の弟か妹が生まれる予定だ。

ララ ( Lara ) とルカ ( Luca ) が2009年に独語圏で最も人気のあった名前だった。
仏語圏のトップはエマ ( Emma ) とナタン ( Nathan ) 。
伊語圏のトップはジューリア ( Giulia ) とレオナルド ( Leonardo ) 。

連邦統計局 ( BFS/OFS ) は、1987年からスイスで人気の高い名前を発表している。
統計は26州の公式登記局からのデータに基づいている。
2009年には7万8286人の誕生が登記された。そのうち3万7879人が女児で4万407人が男児。
スイスの人口約780万人のうち63%が独語、20.3%が仏語、6.5%が伊語、0.5%がロマンシュ語を使用している。

トーマス・スティーブンス、 swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )

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