The Swiss voice in the world since 1935

ジュネーブ、フランスの原発計画に反発

ビュジェ原発
スイス・ジュネーブから70キロ離れたフランス南東部ビュジェにある原子力発電所は1972年に稼動開始した Keystone

スイス・ジュネーブ当局は、近くのフランス南東部ビュジェ原子力発電所外部リンク(稼動年数46年)に対して2回目となる訴状を提出した。原発がスイス住民にとって「大きなリスク」をもたらすとしている。

訴状はフランスの裁判所に提出された。ビュジェの原発は設計上の欠陥や老朽化、漏えいの問題がある上、地震や洪水のリスクがあると指摘する。ジュネーブから約70キロしか離れておらず、原発で重大な事故が起きればジュネーブ住民も避難しなければならなくなる。

2年前にもジュネーブ州・市が共同で同じ内容の訴状を出したが、フランス裁判所は「十分な根拠がない」として棄却した。今回はパリ地方裁判所に提出され、ビュジェ原発が「住民の安全と健康、そして環境に大きな危害をもたらす」と主張した。

ビュジェ原発は1972年に稼動したフランスで最も古い原発の一つだ。

≫世界で最も古い原発はスイスに

フランスの脱原発

元フランス環境相で環境法専門家のコリーヌ・ルパージュ氏は、今回の訴状に関してジュネーブの代表に着任した。

ジュネーブ州憲法は、「州域内および近隣地域の原子力発電所、射性廃棄物の埋蔵・処理施設の建設に反対する」行動を求めている。

2012年、ジュネーブはフランス当局に対し、ビュジェ原発を運営する仏EDFに同地に放射性廃棄物の貯蔵施設を作る許可を与えないよう訴えたが、仏当局は拒否した。

フランスのマクロン大統領が先月発表した今後30年間のエネルギー戦略では、国内で稼動している19箇所の原子力発電所にある原子炉58基中、14基を35年までに廃炉にする予定だ。35年までに原発による発電量を半減させる。

フランスは世界で最も原発への依存度が高く、総発電量の約4分の3を原子力発電でまかなう。マクロン政権はドイツとの国境でスイス・バーゼルの50キロ北にあるフェッセンハイム原発について、2020年に廃炉作業を始めることを承認した。承認されれば、ビュジェは8基ある最古の原発の一つとなり、27年から廃炉作業に入る。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイスFINMA

おすすめの記事

スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)は1日、監督体制を強化するため組織を再編したと発表した。クレディ・スイス危機への反省から、立ち入り検査機能を増強する。

もっと読む スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設
シモン・プリュス氏

おすすめの記事

スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦経済管轄局(SECO)は1日、これまでに国内で凍結したロシア資産は74億フラン(約1兆2500億円)になったと発表した。資産の所有者の特定が進んだことで、昨年4月から1年で16億フラン増えた。

もっと読む スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む
買い物かごの写真

おすすめの記事

スイス住民の12人に1人が貧困ラインを下回る 

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局が31日発表した最新調査で、2023年のスイスの貧困率は前年比ほぼ横ばいの8.1%(約70万8000人)だったことが分かった。

もっと読む スイス住民の12人に1人が貧困ラインを下回る 
部分日食

おすすめの記事

スイスで29日に部分日食

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは29日に部分日食が観測される見込み。午前11時20分頃に月が太陽の前に重なり始める。

もっと読む スイスで29日に部分日食
チベットの旗とスイスの旗を掲げる亡命チベット人家族と子ども

おすすめの記事

ベルン大、チベット語コースの募集停止

このコンテンツが公開されたのは、 ベルン大学は、2025年度秋学期からチベット語コースの学生募集を停止する。同大はチベット語が学べる唯一のスイスの大学だった。

もっと読む ベルン大、チベット語コースの募集停止
UBSの看板

おすすめの記事

UBS、スイスからの本社移転を検討か 一部報道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府が検討している国内銀行の規制強化案が実現すれば、UBSはスイスからの本社移転を検討すると、米ブルームバーグ通信が20日報じた。

もっと読む UBS、スイスからの本社移転を検討か 一部報道
スイス中央銀行

おすすめの記事

スイス中銀、フランの買い手から売り手に転じる 2024年報告書

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が18日発表した年次報告書によると、2024年はフランの「買い手」から「売り手」に転じた。インフレ圧力が緩み、フラン安を食い止める必要性が薄れた。

もっと読む スイス中銀、フランの買い手から売り手に転じる 2024年報告書

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部