スイスの視点を10言語で

受刑囚が自殺ほう助で死亡、スイス国内初

刑務所
ツーク州にある刑務所 @Canton Zugo

スイスの刑務所に服役中の受刑者が、自殺ほう助により自死したことがわかった。受刑者が自殺ほう助で死亡するのは国内で初めて。

独語圏の新聞ヴォッヘン・ツァイトゥングが報じた。死亡したのはツーク州にあるボスタデル刑務所の受刑者。2月28日に自殺ほう助団体エグジットの助けを借り、刑務所外で自死したという。

チューリヒ州司法省はスイス公共ラジオ(SRF)に自殺ほう助実施の許可を出したことを認めたが、受刑者の身元は明らかにしなかった。

同省によると、有罪判決を受けた、あるいは服役中という理由だけで、自殺ほう助による自死を否定することはできない。

ヴォッヘン・ツァイトゥングによると、スイスの刑事罰執行能力センターは、被抑留者は原則として、第三者の助けを借りて自死する権利があるとする文書を作成した。しかし、実施には関係司法当局の同意が必須となる。

スイスの法律では、患者自身が自殺を図り、ほう助をする側がその死に利害関係を持たない場合、罪に問われることはない。スイスでは1940年代から自殺ほう助が合法化され、毎年平均6万7000人の死者のうち、約1.5%が自殺ほう助で命を絶っている。

英語からの翻訳・宇田薫

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス中銀

おすすめの記事

スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が3日発表した2024年度決算確報は、807億フラン(約13.5兆円)の黒字だった。速報時点の見込み通り、連邦政府・州に30億フランを配当する。

もっと読む スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
スイス中銀のマルティン・シュレーゲル総裁

おすすめの記事

スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対

このコンテンツが公開されたのは、 スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。

もっと読む スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
ドナルド・トランプ米大統領

おすすめの記事

スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は3日の国連人権理事会(HRC、本部・ジュネーブ)で、ドナルド・トランプ米大統領が連邦・州レベルの死刑制度を強化する大統領令に署名したことを「深く懸念している」と表明した。

もっと読む スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
株価ボード

おすすめの記事

スイス株式相場、初めて1万3000の大台に

このコンテンツが公開されたのは、 スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。

もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
ゼンティス山の山岳ケーブルカーとスイス国旗

おすすめの記事

ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ

このコンテンツが公開されたのは、 東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。

もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部