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スイス国境の伊北部で4人目の死者 新型コロナ

買い物客
新型コロナウイルスの感染が拡大しているイタリア北部の町では、スーパーマーケットにマスク姿の買い物客が長蛇の列を作った Lapresse

スイスと国境を接するイタリア北西部ロンバルディア州で24日、新型コロナウイルスによる国内4人目の死者が確認された。同州は国内で最も感染者が多く、スイスへの越境労働者も多い。このためスイス国内では不安が広がっている。

死亡したのは84歳の男性。ロンバルディア州ベルガモの病院で死亡が確認された。残りの3人は、同州クレモナに住む68歳のがん患者の女性のほか、78歳の男性、77歳の女性といずれも高齢者。

イタリアの関係機関によると、国内で陽性反応が確認されたのは、公式発表で165人。感染者はロンバルディア州が最も多い。

イタリア政府はウイルス封じ込めのため、感染が広がっている同国北部の11自治体を封鎖。同地域の住民の出入りを禁じた。多くの自治体では学校を休校とし、飲食店や映画館、美術館などが営業を取りやめた。サッカーの試合やカーニバルのイベントも延期・中止し、ロンバルディア州の州都ミラノでは、歌劇場「スカラ座」が当面の公演を見合わせる。

ティチーノ州では不安広がる

イタリアと国境を接するティチーノ州では、通勤などで最大7万人がイタリアからスイスに入ってくるため、不安が広がっている。

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同州ではすでに多くの店舗でマスクが売り切れた。地元の病院では風邪の症状がひどい患者は、中国との接点がない場合でも隔離するなど、厳格な警戒態勢を敷く。

連邦政府とティチーノ州は、国境封鎖の可能性について「効果的な措置ではなく、検討はしていない」と否定した。連邦内務省保健局のダニエル・コッホ氏は22日、スイス公共放送(SRF)に「(ティチーノ州の住民は)不必要にパニックに陥らないことが重要だ」と呼び掛けた。

別の大型クルーズ船のスイス人乗客は隔離措置へ

連邦内務省保健局は21日、横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号とは別のクルーズ船に乗船していた約10人のスイス人について、下船後スイス国内で隔離措置を講じると発表した。中国湖北省にいたスイス人5人と中国人の家族は現地を発ち、スイスに帰国する。

同局によると、クルーズ船「MSウェステルダム」に乗船していたスイス人約10人がスイス国内の居住地がある州で現在隔離されているか、または今後14日間の隔離措置を受ける。

同クルーズ船は今月13日、カンボジアに到着。ほかの港ではウイルスの感染拡大により入港を拒否されていた。新型コロナウイルスの陰性反応が確認された乗客数百人が帰国している。

同局によると、スイス人乗客は全員陰性。症状も出ていない。

武漢から帰国

21日、湖北省にいたスイス人5人と中国人の家族2人が、フランスの飛行機で現地を離れた。パリからスイスに入り、14日間の隔離措置を受けるという。

これより前に武漢から戻ってきたスイス人とその家族は、フランスで隔離され、その後帰国した。

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新型コロナウイルスの集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号から下船が認められた2人のスイス人乗客について、スイス連邦外務省は21日、声明で「2人は健康で、スイスに戻る準備をしている」とコメントした。2人は帰国後、スイス国内で経過観察する。

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スイスでは現時点で、コロナウイルスの感染者は報告されていない。

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