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ジュネーブの憲法委員会はシリアに平和をもたらすか

UN Special Envoy for Syria Geir Pedersen
ジュネーブで30日から開かれる憲法委員会は、ゲイル・ペターゼン国連特使が司る Keystone / Salvatore Di Nolfi

スイス・ジュネーブで30日から開かれるシリア憲法委員会には世界の外交官や当局者らが集まり、紛争で血塗られた国の今後の道筋を明らかにする。具体的にはどんなことが議論されるのか?

シリア憲法委員会はどんな重要性を持つのか?

過去8年間、シリアの和平協議は何度も挫折してきた。憲法委員会は昨年、ロシアの呼びかけで設置され、国連のゲイル・ペターゼン外部リンク特使を中心に、新憲法を起草する任務を負う。

国連は先月、シリア政府と委員会設置の反対派との間で合意が成立したと発表外部リンクした。国連はこれを、主要国が2012年に採択した平和へのロードマップの実現に向け、紛争当事国が行った「初めての具体的な政治合意」と位置付けた。ロードマップは15年に国連安全保障理事会決議第2254号外部リンクとして採択された。

参加するのは誰?

委員会のメンバーは150人。シリア政府が選出した50人、反対派から50人、国連が市民社会から選出した50人から成る。3割は女性だ。

15人ずつのグループで憲法草案を準備・起草し、委員会に提出。委員会が望ましくは全会一致で、少なくとも75%以上の賛成で採択する。

委員の選定作業には約2年を要した。国連のリストは長い間、名簿や作業範囲に関して主にシリア政府から反対を受けた。各グループにはクルド人が含まれていたが、シリア民主軍(SDF)やクルド人民防衛隊(YPG)の代表がいなかったからだ。

シリア政府のアフマド・クズバリ氏と反体制派のハディ・アルバフラ氏が共同議長に就き、ペターゼン氏とともに憲法策定過程を監視する。コフィ・アナン元国連事務総長ら3人が和平プロセスを仲介したがいずれも進展なく辞任。ペターゼン氏が4人目の特使となった。

成功する可能性は?

ペダーセン氏は、委員会がより包括的で広範な政治プロセスや改革につながり、最終的にシリア統一への選挙への「扉を開く」可能性があると考える。

また委員会は国連が支援しシリア主導で進む。直接参加こそしないがトルコやイラン、ロシア、米国、欧州連合(EU)、サウジアラビアなど世界の大国が使節団を派遣し全面支援する。

委員会はジュネーブで「数日間」会合を開くが、起草グループがいつまで活動するかは不明だ。

ペターゼン氏は28日、記者団に「我々はそれほど遠くない将来、議論に具体的な進展があると楽観視している」と語った。

だがペターゼン氏は、委員会だけでは紛争を解決できないことも認識している。憲法委員会に「具体的な進展」を、「現場に有意義な進展」を求める。紛争当事者に拘束された女性・子供の釈放など、信頼構築につながる措置を示唆する発言とみられる。

ただシリアのアサド大統領は強い軍事力を背景に圧倒的優位を保ち、譲歩に消極的な可能性がある。シリア当局者はアサド氏が再び大統領選に出馬すると見込んでいる。

ロシア、トルコ、イランは17年1月、シリア紛争の終結を目指し和平協議(アスタナプロセス)を開始。18年12月に憲法委員会の設置に合意した。国連が支援した交渉枠組み「ジュネーブプロセス」は政治的移行を目指していたが、武力行使を止めることができず、徐々にアスタナプロセスに重点が移った。カザフスタンのアスタナやロシアのソチで13回に渡りシリア代表者と反体制派が会合を開いたが、ほとんど進展はみられなかった。

シリア国内の現状は?

2011年3月以降、シリア紛争で何万人も命を落としている。紛争前に2200万人だった人口は半減し、多くは国外に亡命した。国土の大半は荒廃している。

ロシア、イランが支援する民兵とともに、反乱軍が支配する地域の奪還に成功した後、シリア政権が国土の6割を統治している。イドリブ地域などシリア北西部は今も反乱軍の統治下にある。

スイスの支援

和平協議から引き続き、スイスは憲法委員会の立ち上げや紛争の平和的解決に全面的に協力している。

ジュネーブに市民社会支援室外部リンクを設置し、400超のシリア人・組織に和平プロセスへの参加を支援している。

2011年以降、スイスはシリアへの人道支援に4億3千万フラン(約470億円)を投じた。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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