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「年配者をのけ者にしないで!」

高齢化社会へのより適切な対応が求められるのは、スイスも例外ではない。
高齢化社会へのより適切な対応が求められるのは、スイスも例外ではない。 Keystone

国際高齢者デーにちなんで1日、国連は年齢の高低を理由に差別を解消するよう行動を求める。世界で何百万人もの高齢者がこのような差別を受けているという。スイスの高齢化社会の現状を世界と比較した。

「私たちが望む未来を築くためには、2030年までに60歳以上の人口が14億人に達する可能性があることを考慮しなければならない」と国連は警告する。現況はどうなのだろうか?ここでいくつかの事実と数字をとりあげ、スイスの高齢化社会を世界と比べる

国際高齢者の日

10月1日国際高齢者の日外部リンクは「年齢差別のない旅」というテーマのもと、主に高齢者への不平等、生涯を通じて蓄積された年齢差別による不利益や世代間格差によるリスクついての認識を高めることを目指す。 キャンペーンでは「年配者をのけ者にしないで」と主張する。

人口

世界人口外部リンクのうち、約10億人が60歳以上。 しかも、2030年までに17年比で46%増え14億人になる。 2018年には、史上初めて、60歳以上の人口が5歳未満の子どもの人口を上回った。

スイスでは、150万人が65歳以上。 2045年には270万人以上になると予測される。高年齢層は、2016年の18%から約27%に増加する見込み。 2016年には50万人だった80代の数は、今後30年間で2倍以上になる見込みだ。

平均寿命

世界の平均寿命は、1990年に64.2歳だったが、2019年には72.6歳になり、2050年には77.1歳に達すると予想される。しかし、後発開発途上国は世界平均を7.4歳下回る。

スイスは平均寿命が最も長い国の1つ。2016年には、男性の平均寿命は81.5歳、女性は85.3歳だった。 2012年の平均健康寿命は、男性で67.7歳、女性で67.9歳だった。

年金制度

世界規模で、生産年齢人口に対する65歳以上の人口の割合は着実に低下している。潜在扶養指数は、世界で日本が最も低く1.8。ヨーロッパとカリブ海諸国の29カ国では、その比率はすでに3未満だ。

スイスでは、年金制度は3本の柱:強制加入の老齢・遺族基礎年金(AHV/AVS)、企業年金、任意の個人年金に基づく。しかし、スイスの社会システムも、高齢化、平均寿命の延長、低出生率へのさらなる対応が求められる。

貧困

経済協力開発機構(OECD)による年金受給者に関するデータによると、世界で65歳以上の人の12.6%が貧困状態にある。

スイスでは、貧困率と貧困リスクは、65歳以上の高齢者層が生産年齢人口のほぼ2倍。年金支給額は主に家賃に使われ、ニーズを満たすには不十分だ。 1985年に企業年金が導入されたことで、年金受給者の経済状況は改善された。しかし、超高齢者の約50万人には老齢・遺族基礎年金しかなく、そのうち約30万人が追加の経済的支援を受けている。

エイジズム

世界保健機関(WHO)外部リンクの委託による世界価値観調査(WVS)では、高齢者に接する態度を評価した。57カ国の8万3千人以上を対象に実施した同調査によると、回答者の6割が、高齢者にふさわしい敬意が払われていないという。この問題は、高齢者に対する敬意の度合いが最も低い高所得国でより顕著にみられた。

スイスでは、高齢者の利益を代表する専門家らが、年齢差別反対同盟を結成し、イニシアチブ(国民発議)を提起した。このイニシアチブは、年齢差別を禁止し、違反した場合には適切な措置を保障する。

(仏語からの翻訳・上原亜紀子)

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