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増える自殺ほう助 2009年は約300件に

自殺ほう助団体ディグニタスが使用していた部屋。現世の苦しみから逃れる前の最後の時間を過ごす Keystone

2009年、スイスでは300人近くが自殺ほう助を依頼した。過去12年間、自殺ほう助の件数は増加する一方だ。依頼者のほとんどは55歳以上。半数近くががんを患っていた。

これらは連邦統計局(BFS/OFS)が3月27日に初めて発表した、1998年から2009年までの自殺ほう助に関する統計の結果だ。

 自殺ほう助の件数は1998年には50件以下だったのが、2007年と2008年には約250件に、また2009年には300件近くまで増加。2009年は、死亡数1000件につき4.8件が自殺ほう助による死亡だった。

 初期に自殺ほう助を依頼したのは男性より女性の方がいくらか多く、2001年以降その傾向が顕著化した。スイスでは、判断力があれば年齢に関係なく自殺ほう助を受けることができるが、これまででは55歳以上が9割を占めている。35歳以下はわずか1%に過ぎない。

 自殺ほう助を受けられるのはもはや生き続ける意味がないと見受けられる人で、重病を患っている場合が主だ。統計によると、依頼者の44%が生前がんを患っていた。パーキンソン病や認知症などの神経変性疾患を理由に挙げた人も14%に上る。うつ病は3%だった。

州による違い

 1998年から2009年までの平均では、死亡件数1000件当たり3件が自殺ほう助によるものだ。州別に見て最も多かったのはチューリヒ州で5.6件、次にジュネーブ州の4.4件が続く。アッペンツェル・アウサーローデン準州、ヴォー州、バーゼル・シュタット準州およびシャフハウゼン州も平均を上回った。

 自殺ほう助の件数が増加する一方で、自殺そのものの数は減少傾向にある。1980年代半ばには年間1600人以上の自殺者が出たが、2009年には1105人に減少した。2009年は自殺4件につき1件が自殺ほう助によるものだった。

 スイスにはエグジット(Exit)やディグニタス(Dignitas)などの自殺ほう助団体があり、利己的な理由によらない限り、自殺のほう助を行っている。両団体の報告によると、2010年には合わせて354件の自殺ほう助を行った。

 エグジットの副社長ベルンハルト・ズッター氏は、スイス国営テレビ・ドイツ語放送SF1のニュース番組の中で次のように増加の理由を語った。「スイスの人口は増加し、寿命も延びる一方。そんな中で重病を患う人も多い。また、エグジットの知名度も上がり、数年前に比べると社会の許容度も上がった。そのため会員数が増え、それと同時に会員が病気になる確率も上がったということだろう」

国際比較は困難

 自殺ほう助の国際比較の材料は少ない。ベルギーで報告されている自殺ほう助(延命措置の中止を含む)件数は、2002年に法的基盤を整えて以来増加を続け、2009年には死亡件数1000につき7.9件となっている。

 オランダでも延命措置の中止を含む自殺ほう助の報告が義務付けられているが、2010年の自殺ほう助は1000件につき2.3件にとどまっている。

がん(44%)

神経変性疾患(29%)

慢性的な痛み(23.7%)

うつ病(3%)

認知症(0.3%)

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