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学校でのクリスマス・キャロル斉唱 一部取りやめ

school singing
歌を歌うのは学校のいわば伝統行事でもある Gaetan Bally/Keystone

スイス北東部の小学校が、クリスマスイベントで歌う歌のリストから、3曲のクリスマス・キャロルを削除した。「他の文化に配慮する」のが理由だが、多文化・キリスト教徒の国スイスで波紋を呼んでいる。

無料日刊紙20min.によると、ザンクト・ガレン州ヴィール外部リンクのマット小学校で20日に予定されているクリスマスイベントで「Go Tell It on the Mountain(世界に告げよ)」、「FröhlicheWeihnachtüberall外部リンク」、スイスドイツ語の現代版キャロル「S’grööschteGschänk外部リンク」の3曲がリストから削除された。いずれもイエス・キリストの誕生を歌ったものだ。他の文化や宗教に配慮するというのが理由という。

地元の政治家で、教育委員会のユッタ・リューズリ委員長は、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、この事実を認めた。リューズリ氏は、この小学校の判断が国内で大きな波紋を起こしたことは残念だと述べた。

さまざまな理由

リューズリ氏は、ここ近年で数人のイスラム教徒の親から反対の声があったというが「特定の宗教に所属していない、あるいはまったくの無宗教の人」からも同じような意見が寄せられたという。そのため、一部のクリスマス・キャロルを歌わないことに決めた。学校はこの問題を非常に慎重に検討していたという。

カリン・ケラー・ズッター司法相の地元ザンクト・ガレン州にあるヴィ―ルは、人口約2万4千人の自治体で、うち約29%は外国人だ。

リューズリ氏は、「きよしこの夜」などほかのクリスマス・キャロルは歌うとし、学校はキリスト教の価値観を守っていると述べた。

驚き

スイスのイスラム組織連盟のファーハド・アフシャール会長は、今回の決定を残念に思うと述べた外部リンク。同氏はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、宗教を学校から完全に排除するのは正しい道ではなかった、と語った。

アフシャール氏は、学校がイスラム教、ユダヤ教の休日も祝うようにすれば、子供たちがほかの宗教を学ぶ機会になると提案した。同氏は 「宗教的な問題から学校を遠ざけようとするよりも、子供にとってははるかに興味深い」と強調する。

ヴィ―ルの中心地でクリスマスツリーの飾りつけが行われた日、SRFが現地を訪れて住民にインタビューした。住民は社会統合(インテグレーション)には賛成だが、学校の決定には概して反対だと語った。その場を通りかかったあるイスラム教徒は、クリスマス・キャロルに反対する気持ちはなく、子供の時は学校で自分たちも歌っていたと話した。

宗教的景観の変化

国レベルの政教分離は1848年に始まった。だが、両者の関係を正確に定義する役割は、各州にゆだねられている。

スイスドイツ語圏の教師連盟外部リンク(LCH)のダグマー・リュスラー会長は20min.外部リンクに対し、小学校は政治的に独立し、無宗教だと語った。キリストの降誕は通常、宗教の授業で習う。だが、ヴィールの学校の決定に対する反響は理解できると話した。時代は変わりつつあるが、アドベント(待降節)を祝うのも普通であるため、クリスマス関連の歌を全く歌わないのは難しいという。

リュスラー氏は、ヴィールの一件は単独の事例に過ぎず、ほかの大半の学校はクリスマスの歌を歌っていると強調した。

イスラム研究に詳しい政治学者のローラ・ロッツ氏はSRFに対し、反響は驚くべきことではないと話した。この時期になると似たような議論がドイツやオーストリアでも起こるとし「宗教的景観の変化を示している。宗教を取り巻く状況は多様化し、無宗教の人が増えている。そういう人たちが、学校のクリスマスイベントでどの宗教歌を歌ったらいいのか、自分に問いかけるのだ」

学校関係者は、クリスマスに関する問題の対応策のほか、今回の決定が適切だったのか、さらに議論するという外部リンク

(英語からの翻訳・宇田薫)

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