この一年でスイスインフォが配信した記事のほぼすべてに、パーセンテージや年齢、金額など何らかの数字が含まれている。印象に残る数字を振り返ってみよう。
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スイスインフォは2018年、びっくりする数字や面白い数字、ためになる数字を紹介するコラム「今週の数字」をスタートする。
1月17日
5,000
毎年ダボスで開催される世界経済フォーラム(ダボス会議)の地上および航空の安全を確保するため、国防省はフォーラム参加者のほぼ倍に当たる5千人もの警備人員を手配することができる。
1月27日
69
軍の当局者によると、69個の軍事兵器が2016年に永久または一時的に紛失されたと報じられている。大半は盗まれたか「失われた」。1969年から2015年までに「無断外出」した兵器は5155個に上る(うち317個はのちに回収された)。
2月28日
87
政府は、国のはしか撲滅計画が失敗したことを認めた。スイスのはしかの予防接種率は87%で、世界保健機関(WHO)が撲滅のための目標値としている95%に届いていない。
3月7日
4.6
スイス中央部で、この数年で最大のマグニチュード4.6の地震が発生した。不安を覚えた市民が警察に電話をしたが、けが人はなく、大きな被害も報告されなかった。
4月30日
40
数々の記録を打ち立て、「スイスマシーン」と呼ばれた登山家ウエリ・シュテックさんが新ルートでのエベレスト登頂に向けた準備中に死去した。40歳だった。
5月11日
3
スイスでは毎日3軒の農家が廃業している。農家が数では減少し規模は拡大する傾向がスイスで続いている。しかし、従来型の小規模農家が匙ならぬ鋤を投げる一方で、有機農業は勢いに乗っている。
6月8日
800,000
スイスの大人の約80万人が、正しく読み書きができない。これは就労人口の約14%に当たる。
7月11日
61
スイスの消費者物価はEU平均より61%高い。特に食料品、ホテル、衣類で顕著だ。多くのスイス人が国境を越えてまとめ買いをしに行くのも不思議はない。
7月16日
19
ロジャー・フェデラー選手がウィンブルドンで優勝し、19回目のグランドスラム優勝を飾って、華々しいカムバックの年とした。記録的な成功への道はどのようなものだったのだろう?
8月2日
9,999
好奇心旺盛で明らかに非常に裕福なある中国人観光客が、高級スキーリゾートのサン・モリッツのホテルで、1878年製のウイスキー、ザ・マッカランに1杯9999フラン(約110万円)を支払った。3カ月後、このウイスキーが偽物で1970年代のものであることがわかった。観光客の男性は払い戻しを受けた。
8月23日
4,000,000
グラウビュンデン州の山で4百万立方メートルの土砂が崩れ、イタリア国境近くのボンド村の一部が埋まった。ハイキング客8人が死亡した。
9月5日
0.0019
夜遊びでお腹が空いたときに人気の食べ物、カレーソーセージ(カリーヴルスト)がデジタル世界に参入した。マーケティングに長けたベルンのある店が仮想通貨ビットコイン決済を取り入れ、カレーソーセージを1つ0.0019ビットコインで販売した。
10月31日
500
マルティン・ルターがヴィッテンベルクの教会の扉に「95カ条の論題」を張り出し、ドイツの宗教改革のきっかけとなってから500年となった。スイスインフォは企画記事外部リンクで、どうしてスイスもこの500周年記念に密接な関係があるのかに焦点を当てた。
11月13日
6,000
2017年のスイスインフォで最も人気だった記事のひとつ。月給6千フランは高給だと思われるかもしれないが、スイス生活にかかる費用を見てみると話は違ってくる。
11月30日
40
2016年にスイス人1人当たりが飲んだワインの本数。前年より数杯分減少した。ビールの消費量も減ったが、 小規模なビール工房はますます広がりを見せている。
12月11日
408,000,000,000
スイスでは2016年、92億時間が無償労働に費やされていた。給料に換算すると4080億フラン(46兆5000億円)。うち61.3%は女性が担っている家事や介護、ボランティアだ。
(英語からの翻訳・西田英恵)
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ダボスに集まるエリート層、「中間層の反逆」に直面?
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世界経済フォーラム(WEF)主催の年次総会(ダボス会議)に集まる世界の指導者たちは不安な時期を迎えている。英国や米国、イタリアの有権者たちが、中間層が抱える支配階級への不満を浮き彫りにしたためだ。
今日17日に開幕を迎えたダボス会議。各国から政財界の要人がダボスに集まる中、フランソワ・オランド仏大統領、アンゲラ・メルケル独首相、カナダのジャスティン・トルドー首相をはじめとする複数のトップは、ダボス会議への参加を控え国内に残る決断を下した。オランダ、ドイツ、フランスの選挙が迫っているためだ。
生活水準が高く、豊かで政局が安定しているスイスでさえ、最近は政治的に二極化の傾向がみられ、国民投票で保守的な結果が出たりしている。
WEFは「即応し、責任あるリーダーシップ」を今年の会議のスローガンに採用。WEFの創設者、クラウス・シュワブ会長は会議に先立ち、指導者は「耳を傾け、指導者に信任を与えた人々と相互に対話しなければならない」と語った。「だが聞くだけでは十分ではない。行動し、対応し、世界の地位を向上させるために決断する勇気を持たねばならない」
最後にシュワブ氏は「世界が昨年にも増してこのメッセージを聞き入れてくれることを期待する」と付け加えた。
スイスの政治学者でスイス内外の顧客に幅広く助言するルイス・ペロン氏は、国際社会が大きく変動し、就業や移民、社会福祉の将来に対して人々の抱える不安が膨らむのに対し、西側諸国の特権階級がうまく対応できなかった代償を支払っていると指摘する。
「人々はエリートが自分たちを理解せず、発言を修正する代わりに同じ内容をより大きく繰り返すだけだ、と不満を持っている」と同氏はスイスインフォに語った。「そのため人々の需要と政治家からの供給に齟齬(そご)が生じ、人々は何らかの変化を期待して投票するようになった」
「選挙や国民投票におけるキャンペーンは、果たして何に対して票を投じるのか、論点設定をめぐる闘争となっている。支配者側がこの闘争に敗北することが圧倒的に多くなってきた」。指導者たちがいったんこうした闘争に負けると、失った地位を取り戻すのは至難の業だと同氏は指摘する。
スイスの国民投票
英国有権者が欧州連合(EU)離脱を決め、米国ではクリントン体制が拒否され強硬的なアウトサイダー、ドナルド・トランプ氏が選ばれたことは、ともに既存の統率システムに対する不満の広がりを物語っている。
スイスにおいても、有権者たちは不満を抱えている。ここ数年、スイスでは国民投票で既成概念を覆すような結果がいくつもあった。最低賃金、中央銀行の金融政策や公共サービスの運営の変革を求めたこともあった。
超富裕層や止まらない移民流入を狙い撃ちした国民投票が実施されたことは、否決はされたものの政治家や企業経営者たちの悩みの種となった。スイス経済界は、政治家と有権者の双方に通じていなければならなくなった。
スイス金融大手UBSは昨年11月のリポートで、有権者の不満は中間層を中心に勢いづいていると指摘した。うっすらと認識されてきたこの現象は、西側諸国ではより顕著になった。新興国では中間層がさらに拡大し豊かになっているという。
一方でUBS銀行は、スイスの中間層は欧州のなかで特殊な存在だと主張する。スイス政府は低所得者層を税制や補助金で優遇することで、格差拡大を和らげることに成功しているとする。
加えて、スイスの強固な徒弟制度やリベラルな労働市場が雇用創出に役立っているとも指摘した。
憤慨する労組
しかしスイス労働組合連合(SGB/USS)はこうしたバラ色の分析に同意を示さない。昨年発表した意見書では、低・中間所得者層は健康保険料の値上がりで高所得者層に比べ大きな打撃を受けていると批判した。
さらに富裕層が引退後に投資で資産を増やすことができるのに対し、低所得者層は支給額の減りゆく年金に頼らざるをえない。
連合は左派系の政治家とともに、スイスの法人税制改革を問う来月の国民投票で反対票を投じるよう国民をけしかけている。スイスの国際企業を国内に維持するためのコストを中間所得者層に押し付ける改革案だ、と当事者に直接訴えかけている。
ペロン氏は、国民投票の結果がどうであれ、スイスの有権者は基本的には周辺国に比べ秩序ある行動をとるとみる。
同氏は「スイス国民は憤りや自己利益のみを重んじて投票するのではなく、公共の利益を踏まえて賛否を決める傾向がある」と話す。「政府の推奨通りに投票することが多いのはそのためだ」という。
「大半の諸外国の有権者はスイスのように異議を唱える機会に恵まれていないがゆえに、選挙で極端な結果になりやすい」
ダボス会議に出席する指導者たちは、開催期間の17~20日の間、こうした極端な結末を避けるための処方箋を議論する。世界経済フォーラム ダボス会議2017
第47回となる世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)は1月17~20日に開かれる。世界中の政治、経済、市民社会、宗教、科学、学術、芸術の各分野から3千人という記録的な数の代表者が集まる。
中国の習近平国家主席は大規模な代表団とともに、中国の政府トップとして初めてダボス会議に出席する。その他有力者たちのなかにはテレサ・メイ英首相、ジョー・バイデン米副大統領、国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド理事長、赤十字国際委員会(ICRC)のピーター・マウラー総裁、国連のアントニオ・グテーレス事務総長などがいる。
1400社からおよそ千人の企業経営者も出席する。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏、フェイスブックの最高執行責任者(COO)シェリル・サンドバーク氏、中国のネット通販最大手アリババの創業者ジャック・マー氏などだ。
総会では環境問題やイラク・シリア内戦、ジェンダー、教育や健康など、非政治的または経済的なテーマにも焦点を当てる。
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スイス国内では、何十万人もの人々が読み書きや計算能力に問題を抱えている。義務教育を終えたにもかかわらずだ。この問題は以前からあったが、いまだタブー視されている。8日の国際識字デーにちなみ、スイス国内の関係団体が7日、こうした問題を広く周知するための全国的なキャンペーンを始動させた。
キャンペーンは「Einfach Besser!(とにかく、良くなろう!)」。スイス識字全国組織のクリスティアン・マーグ代表は「キャンペーンを通じて、私たちは『基本的な言語能力』というテーマを、一般市民だけでなく、その問題を抱えている本人に呼びかけたい」と話す。キャンペーンは同組織と教育に関する全国会議が一緒に立ち上げた。
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