3月8日は国際女性デー。スイスの労働市場で男女共同参画はどのくらい進んだのか、グラフィックでみてみよう。
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男女平等について言えば、スイスの労働市場は欧州で最も遅れている。同誌のランキングではスイスは欧州21カ国中21位、OECD29カ国中26位だ。スイスでは性別による役割分担の発想が根強いことや、女性にとって仕事と家庭の両立が難しいことが背景にある。
男女比の変化
だが状況は大きく変わっている。スイスインフォでは、500種以上の職業のうち1970年以降で男女比に大きな変化があった職業を選び出した。
色々な職業で多様化が進んだ一方、性別による分断が根強い職業もまだ多い。2013年の国際調査では、スイスは性的分断が最も大きい国に挙げられた。以下のグラフィックは、片方の性別に大きく偏っている職業を示す。
性別による分断は、特に賃金の公平性の問題をもたらす。伝統的に、保育や幼児教育など女性の多い職業は社会的地位が低く、昇進の機会は小さく給料も安い。
一つの性別に独占された業界は、有能な人材が不足しがち。性的な多様性を広げることでより大きな利益を生む可能性がある。
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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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ゴステリさんが働く女性に向けられた不平等を意識するようになったのは、父親が早くに亡くなり、ベルン近郊にある一家の農場が母や姉たちに任されるようになってからだ。
同じく女性解放活動家だった母親の影響を受けたゴステリさんは、結婚や出産はしないと決心、経済的に自立し、女性参政権運動に身を投じた。一方で中産階級的な面もあり、街頭デモからは距離を置いていた。これに関しゴステリさんはスイス公共放送(SRF)のインタビューで、「デモではなく、具体的行動をすべき」と説明している。
スイスが欧州最後の国としてようやく女性に参政権を与えたのは1971年のこと。これほど導入が遅れたのはスイス独特の直接民主制に原因があった。憲法改正には国民投票が必要なため、スイス女性の権利もまた、投票権を持つ男性の一存に任されていたのだ。
先月スイスで劇場公開されたペトラ・フォルペ監督によるスイス女性の解放運動を扱った映画「Die göttliche Ordnung(仮訳・神の秩序)」の主人公ノラとゴステリさんの間にはいくつかの共通項がある。
(英語からの翻訳・本文/フュレマン直美 ビデオ字幕/大野瑠衣子)
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