The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

抗原簡易検査の精度はPCRの3分の2 スイス研究

Rapid antigen test
抗原簡易検査では、PCRで陽性だった無症状患者の44%しか陽性反応が出なかった © Keystone / Gaetan Bally

新型コロナウイルスの検査について、PCR検査で陽性と判定された141人のうち、抗原簡易検査では3分の2しか陽性反応が出なかった。

無症状患者に限るとさらに精度は落ち、PCRで陽性だった人の44%にとどまった。

国際感染症学会誌に掲載されたベルン大学とベルン大学病院(インゼル病院)の共同研究外部リンクで明らかになった。同研究チームは25日、検査キットの製造者が公表したデータから大きく外れていると指摘外部リンクした。    

研究チームは、ロシュ製の抗原簡易検査の臨床現場での精度を初めて調べた。特別な訓練を受けた専門家が採取した検体を、PCR検査と同社製抗原検査の両方で判定した。

1465人を検査したところ、​​PCR検査では141人(9.6%)が新型コロナウイルスに感染していたが、抗原簡易検査では95人(6.4%)だった。研究チームは、特に検体の採取において、現場での精度はさらに低い可能性があると指摘した。

研究は「このような環境で広く(抗原検査が)利用されると、かなり多くの人が誤ってコロナ陰性と分類される可能性がある」と結論づけた。

研究によると、現在スイスでは週に推定13万件の簡易検査が実施されている。約18%が陽性と判定されており、約2万3400人は正しく判定されているが、1万2400人は誤って陰性に分類されている計算になる。

研究を主導したインゼル病院のマイケル・ナグラー氏は「抗原検査がパンデミックを封じ込めるのではなく悪化させているリスクがある」と指摘。「現在利用できる抗原簡易検査は、新型コロナ対策の一環としてのみ活用する必要がある」と結んだ。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部