スイスの視点を10言語で

スイスの学校再開、州でさまざま

教室のドア
スイスの学校は5月11日に再開する © Keystone / Christian Beutler

スイスでは5月11日に学校が再開する。1日までに複数の州が詳しい再開方針を発表したが、ある州は全面再開、別の州はより慎重、と温度差がある。

スイス連邦内閣は29日、義務教育(16歳まで)の小中学校(一部地域は幼稚園)の再開を発表した。高等学校、職業訓練校などは、少人数の授業なら可能だ。連邦制のスイスでは教育は州の管轄で、最終決定権は州にある。

おすすめの記事
レストラン

おすすめの記事

スイスのロックダウン緩和第2弾 何が解除される?

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは5月11日から、新型コロナウイルスに伴うロックダウンの緩和第2弾が始まる。国内の小中学校は休校が解除され、レストラン・文化施設は厳しい感染予防対策の下で営業を再開する。

もっと読む スイスのロックダウン緩和第2弾 何が解除される?

アッペンツェル・アウサーローデン準州、ニトヴァルデン準州などは、5月11日から「ほぼ通常の」カリキュラムに戻る。高リスクグループに属する子供は例外だ。フリブール州は段階的なアプローチを採用。5月20日まではクラスを2つに分けて隔日授業にする。

防護措置

すべての州は、生徒と教師の健康を守るため、連邦保健庁が29日に出した国の防護対策に従うと強調した。

国の防護対策には手を洗う、部屋をまめに掃除する、空気の入れ替えを頻繁に行う、教師と生徒の間には2メートルの距離を空けることなどが含まれる。10歳未満の生徒にはソーシャルディスタンシング(社会的距離)は適用しない(非現実的なため)。マスクの着用義務はない。

26の州のほとんどが、再開の具体的な方針を公表した。ツーク州は5日に保護者に通達する。再開予定日のわずか6日前だ。

州によって異なるアプローチ

はっきりしているのは、各州のアプローチが非常に多様であるということ。チューリヒ州、ザンクト・ガレン州などドイツ語圏の大きな州は、1カ月間、クラスを2つに分ける。他のほとんどのドイツ語圏の州は、通常通りのカリキュラムに戻る(ベルン州は、衛生対策・距離ルールを徹底するため、半数での授業を最初の2日間行う)。

新型コロナウイルスの影響を最も受けた州の1つ、ティチーノ州でも、厳格な防護対策を取り、5月11日に学校を全面再開する。ただし、学校が開始日を1週間遅らせることもできるようにした。

文化圏での違いは?

スイスのフランス語圏では、少し異なる。ヴォー州の教育部門の責任者セスラ・アマレル氏はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)に「ジュネーブやヴォー州は新型コロナウイルスの影響を非常に強く受けている。学校の再開をより段階的に進めるよう求める要請が出ている。健康を鑑み、我々は他州よりも慎重に行く」と語った。

ヴォー州では、5月25日までクラス半数ずつの隔日授業にする。働く親のために学童保育も整備する。ジュネーブ州は「パートタイム」のアプローチを取る。小学校では5月25日まで、午前か午後でクラスを分けて授業を行う。

教師の反応

スイスの校長連盟は、フランス語圏のスイス教員連盟(SER)と同様、再開に向けた共通の解決策がないことを批判している。今後数週間の教育は保健庁の措置が大きく影響することが予想され、学校はそうした措置がすべて効果的に適用される場合にのみ再開できると訴えた。

一方、ドイツ語圏のスイス教員連盟(LCH)のダグマー・レスラー代表はドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー紙に対し、対面式の授業再開は歓迎するものの、国が統一の防護対策を見送ったのは残念だと語った。「学校を再開する際、防護対策が州、村、町、学校ごとにばらばらであることを親は疑問に思う」と語った。

外部リンクへ移動
サブスクリプションを登録できませんでした。 再試行する。
仮登録をしました。 次に、メールアドレスの認証手続きを行ってください。 ご入力いただいたメールアドレスに自動配信メールを送信しました。自動配信メールに記載されているリンクをクリックして、ニュースレター配信手続きを完了させてください。
今週のトップ記事

各種テーマに関するswissinfo.chのベスト記事を受信箱に直接お届け。

毎週

SRG SSRのプライバシーポリシーでは、データ処理に関する追加情報を提供しています。 


人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

兵士

おすすめの記事

スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。

もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
取材に応えるナグラのマティアス・ブラウンCEO

おすすめの記事

核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」 

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画をめぐり、計画主である放射性廃棄物管理協同組合NAGRA(ナグラ)は、国民投票による決着を歓迎する姿勢を示す。

もっと読む 核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」 
ジョン・レノンとオノ・ヨーコさん

おすすめの記事

ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定

このコンテンツが公開されたのは、 ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。

もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
スイス証券取引所を運営するSIX本社

おすすめの記事

スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。

もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
野菜

おすすめの記事

2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。

もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
研究所の外観

おすすめの記事

CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える

このコンテンツが公開されたのは、 今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。

もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
クラスの風景

おすすめの記事

女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。

もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
雪山で写真を撮る観光客

おすすめの記事

11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。

もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
巨大な豆腐を切る人

おすすめの記事

スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。

もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部