スイスの視点を10言語で

新型コロナ後の人の動き、携帯端末データで分析 スイス政府

携帯
新型コロナウイルス封じ込め対策がどれだけ守られているか、政府が国民を「チェック」していたーー? Keystone / Nick Soland

政府の要請で通信大手スイスコムが利用者の携帯電話端末位置データを収集し、政府の外出自粛要請などがどれだけ守られているかを検証していたことが分かった。データは24時間前のもので、匿名化もされているが「プライバシー侵害につながるのでは」との懸念も上がる。

分析の結果、スイス国民は政府の措置をきちんと守っていたという。

アラン・ベルセ内相は25日、スイスコムが政府の要請を受け、携帯電話端末の位置データから集団の規模を検知していたことを認めた。データは受信から24時間経ったものを匿名化して政府に提出。用途も新型コロナウイルス対策に限られた。

連邦内務省保健庁感染症班のダニエル・コッホ班長は26日の会見で、「これは監視ではない」と強調。収集したデータは24時間前のもので、ユーザーの動きをリアルタイムに追跡したものではないと語った。

コッホ氏はまた、データの匿名性は厳守され、データ保護に関しても100%安全だと述べた。

ソーシャル・ディスタンシング

スイス連邦内閣はウイルス封じ込め策として5人を超える集まりを禁止し、バーやレストランなど生活必需サービス以外の店舗を営業停止とした。スイス国内では1万人を超える感染者が出ている。

今回の措置では、1万平方メートル以内で20台の携帯電話端末が確認された場合、スイスコムが連邦政府に報告していた。住宅地や事業所は除外された。

フランス語圏の日刊紙ル・タンがこの件を報道。スイスコムの広報担当クリスティアン・ノイハウス氏はスイスの通信社Keystone-SDAに対し、人の行動をリアルタイムで追跡はしておらず、SIMカードのデータは24時間の間を空けて政府に報告したと語った。

プライバシーの問題

テクノロジーを駆使して隔離措置にある人を監視し、あるいは感染を追跡するー。それがプライバシーの侵害や国による国民監視につながるのではないかという懸念が高まっている。中国では、中国政府が顔認識やモバイル追跡アプリなどのツールを使用して、コロナウイルスの震源地・武漢の市民の健康状態や人の動きを監視していたという報道もある。

ベルセ内相は25日の会見で、個人の動きをリアルタイムで追跡する意図は全くなかったと釈明。データにアクセスできたのは保健庁のごくわずかの職員だったとも述べた。

通信事業者の業界団体GSMAは25日、ボーダフォン、ドイツテレコム、オレンジほか5つの通信プロバイダーが新型コロナウイルスの感染拡大を追跡するため、欧州委員会と携帯電話の位置情報を共有することで合意したと発表した。

外部リンクへ移動
サブスクリプションを登録できませんでした。 再試行する。
仮登録をしました。 次に、メールアドレスの認証手続きを行ってください。 ご入力いただいたメールアドレスに自動配信メールを送信しました。自動配信メールに記載されているリンクをクリックして、ニュースレター配信手続きを完了させてください。
今週のトップ記事

各種テーマに関するswissinfo.chのベスト記事を受信箱に直接お届け。

毎週

SRG SSRのプライバシーポリシーでは、データ処理に関する追加情報を提供しています。 

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む
ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
整備中の飛行機

おすすめの記事

スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠

このコンテンツが公開されたのは、 スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。

もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
署名の入った箱

おすすめの記事

国民投票に向けた署名がまたも偽造

このコンテンツが公開されたのは、 医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。

もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
エリック・ヘンニさん

おすすめの記事

スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

このコンテンツが公開されたのは、 1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。

もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部