スイスでオーガニック食品の人気が止まらない。オーガニック食品の総売上高は初めて30億フラン(約3300億円)を突破。2018年は消費者が一人当たり360フラン(約4万円)のオーガニック食品を購入した。週に数回以上購入する人は消費者全体の約56%に上る。
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オーガニック食品の認証機関ビオ・スイス外部リンクによると、総売上高は2017年の27億フランから13.3%増加した。前年と同様、購入場所の4分の3はスイスの大手スーパーマーケットチェーン、コープ外部リンクとミグロ外部リンクだった。
増加に大きく貢献したのはスイスのフランス語圏だった。市場シェアはドイツ語圏の方が大きいが(10%)、フランス語圏が2017年の8.8%から2018年は9.9%と最大の伸び率を記録した。イタリア語圏のティチーノ州は8.6%。
すべての製品グループで売上高が増加し、市場シェアを広げた。新鮮な無農薬の野菜や果物は依然、最も人気だ(それぞれ60%と59%)。
有機卵は卵市場の4分の1以上(27.6%)を占め、焼きたてのオーガニックパンは25.3%、有機の野菜やいも類は21.8%。ビオ・スイスは「オーガニックは三つの製品グループの市場で、重要な地位を確立している。他の製品グループもそれに続くだろう」と期待を込める。
有機農産物に対する消費者の需要の高まりを受け、国内農家も有機農業にシフトしている。 ビオ・スイスによると2018年末、有機農産物を生産する農場は6719件で、前年より296件多かった。有機農業は農業用地全体の15.4%を占める(低地の10%、山間部の23.6%)。
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「一年を通して、常にトマトを食べられないといけないのか?大手業者は消費者を甘やかしている」。大手小売業であるミグロやコープなどのスーパーマーケットの棚に有機農産物が増えたことは喜ばしいことだが、いつでも供給できる状態にしておく必要はないのではないか、とマルティン・キョッホリさんは考える。
アールガウ州ブットヴィールで有機農業を営むキョッホリさんが会長の有機農業協同組合「ビオフォーラム・スイス」は「多種多様で、環境に優しい、社会的農業」を目指している。キョッホリさんにとって有機農業は、化学肥料や農薬を使用しないという点だけに留まらない。丁寧に、かつ節度を持って農業を営むことも有機農業の一部であると考えている。しかし、このような価値観は消費社会においてあまり重要視されていないのが現実だ。
キョッホリさんは、1980年代にザイール(現コンゴ)の奥地で農業開発プロジェクトに従事した経験があり、厳しい状況への対応にも慣れている。ザイールは「土壌は痩せた砂地で、収穫も少なかった」ため、「大掛かりな畜産ではなく、それよりも格段に効率の良い大豆の生産を始めた。大豆は、たんぱく質の需要をすばやく満たすことができる。ニワトリやブタなどを通じてとなると、著しく効率が下がる」と話す。
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香辛料を運ぶビジネスを始めたのは、トビアス・ヨースさん。普段は、チューリヒ近郊に自転車で荷物を運ぶメッセンジャーの仕事をパートタイムでしている。だが、この日運ぶ荷物はちょっと特別。インドからの香辛料が入った箱10個だ。自身のクラウドファンディングプロジェクト「Crowd Container」を通じて、インド南部ケーララ州の小規模農家から仕入れた。
ヨースさんらのチームが考案したこのプロジェクトは、出資者から注文を受けた後、香辛料を船で輸入し、小売業者を介さず直接出資者へ届ける仕組み。スイスのクラウドファンディングサイト「Wemakeit」を通じ、500人を超える出資者から注文代金として約8万4千フラン(約875万円)を集めた。
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