スイスでは、一部の職業が姿を消している。例えば、靴修理の職業訓練はもうできない。その代わりに、脱水のアシスタントなる職業も現れた。
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義務教育を修了した子供たちの約3分の2は、職業訓練の道に進む。これは訓練校での教育と実務経験を組み合わせた国のシステムで、賃金をもらいながら職場で見習いとして働き、週の1〜2日は学校で学ぶ。
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スイス人は14歳で職業を選択 早すぎる?
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職業訓練は現在、約230の職種から選べる。これまでと同様、オフィス勤務が主体の商業系職業訓練が、男女ともに最も人気が高い。
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義務教育後の進路 今年の傾向は?
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スイス連邦教育研究革新事務局外部リンク(SERI)の統計によると、過去15年で、職業選択の職種が大きく変容した。以下がそのリストだ。
スイス連邦職業教育訓練機構外部リンク(SFIVET)のユルグ・シュヴェーリ外部リンク教授は、どんな職業訓練を提供するかは、その時の経済的・社会的傾向が反映されていると指摘した。
同教授はswissinfo.chの取材に電子メールで「いくつかの新しい職業訓練は技術革新を反映している。例えば補聴器音響技師や滅菌処理技術者だ」と回答した。
「化学・製薬アシスタントは、おそらく製薬業界の規制上の必要に応じたものだろう」という。「身体活動・健康促進アシスタント、補聴器音響技師などは、高齢化社会に対応したものだ」
労働市場の需要
「職業教育訓練(VET)は労働市場のニーズに密接に関連している」とSERIはswissinfo.chに書面でコメント。自身の職業の魅力を確保するため、専門の団体が職業訓練プログラムに応募して開始するとした。新しい職種内容がテクノロジー志向なのは「これが現代の労働市場が要求するもの」だからだという。
SERIとシュヴェーリ氏はいずれも、技術変化とデジタル化により、提供される職業訓練の種類がさらに変わると期待する。こうしたことが理由で、職業訓練の内容は5年ごとに更新されるという。
職業訓練
スイスでの職業訓練はほとんどが3年から4年。すべて終えると連邦職業教育訓練資格取得コース(VET)の卒業証書がもらえる。これよりも難易度が低く、より実践的な2年間の連邦VET履修コースもある。 VETは、職場での実習をせずにフルタイムで職業訓練校に通うことでも修了できる(スイスのイタリア語、フランス語圏地域に多い)。
連邦VETの学士は、応用科学大学で学ぶチャンスが与えられる。これは資格コースと並行して、またはその後でも可能だ。通常の大学に入学するには、大学の適性試験を受ける必要がある。
VETシステムは、連邦、州、および専門団体によって運営されている。
新しい職業訓練は目に見える形での魅力的な変化だが、ほとんどの変化は既存の職業の中で起こる、とシュヴェーリ氏は指摘する。
新しい職種内容
ホテルコミュニケーションの職業訓練は、新たな顧客の需要に応え、オフィスとホスピタリティ業務を組み合わせた内容だ。システム・ガストロノミー専門家は、ファストフードの準備・提供だけでなく、食品の購入と品質管理にも関わる。
脱水助手は、上下水道のメンテナンス技術を習得するが、それはこれまでと同じ。しかし、環境、安全性、ITの需要が高まるにつれ、職業自体が変わった。例えばパイプをチェックするために遠隔操作のカメラを使用しなければならない。専門家によると、職業訓練の名称もイメージ上の理由で変更された。
靴修理と金属印刷は需要がなくなった。写真ラボの仕事はデジタル化により衰退した。シュヴェーリ氏は、新しい技術で印刷業界が様変わりしたように、場合によっては変化が「痛み」ともなると述べた。
商業系職業訓練
人気のある商業系職業訓練はどうだろう?
「大きな疑問は、デジタル化によって商業に従事する労働者の需要が大幅に削減されるのか。それとも労働者が新しいビジネスプロセスの一環である新しいタスクに単純に移行していくのか、ということだ」とシュヴェーリ氏は指摘する。
統計では、非雇用の商業労働者数において明確な下降路線は見られないが、より条件が厳しくなる傾向だ、という。
「今日では、より多くの人々が高等教育の学位(一般教育機関と職業訓練機関)を取得している。これは、商業的な職種だけでなく、他のほとんどの職業分野にも当てはまる」
(英語からの翻訳・宇田薫)
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職業訓練制度(見習い制度)は、スイスの職業制度を支える屋台骨の一部だ。しかし最近はそれよりも、いろいろな可能性を残しておくために進学するという選択肢に魅力を感じる若者も多い。可能性が多すぎてなかなか決断を下せない「ジェネレーション・メイビー(もしかして世代)」と呼ばれる、今の若者たちの声を聞いてみよう。
ステファン・クルッカーさんは、14〜15歳の若者の気持ちをよく理解している。元キャリアカウンセラーで、現在は他のキャリアカウンセラーを監督する立場にあるクルッカーさんは、学校やベルンの職業・教育・キャリア相談センターで、将来に悩む若者を何千人も見てきた。
通常、義務教育の終わりに、生徒たちは選択を迫られる。進学の意志があり成績が足りている者は高校に進み、他の者は職業訓練の道に進む。多くの場合、前者の道は大学へ続き、後者の道を行けば実社会に出るが、その後専門系の学校に行くことも可能だ。クルッカーさんによると、社会の要求や期待が変化するにつれて、スイスの若者は昔より多くのことを考慮しなければならなくなっている。
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