スイス国立銀行(中銀)は10日、新20フラン札を発表。新紙幣の基本色は赤色で、モチーフにはロカルノ国際映画祭のスクリーン、チョウ、地球儀が描かれる。新紙幣は今月17日から流通が開始する。
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新紙幣各種のテーマは「多様なスイス」。スイス中銀のフリッツ・ツアブリュック副総裁は記者会見でそう話し、新20フラン札はスイスの創造的な面を象徴していると語る。新20フラン札ではスイスが文化の場として、また様々な分野における文化的、芸術的活動の場として描かれているという。
「この紙幣の主な要素は光だ」とツアブリュック氏は話す。「光のおかげで、自然や、人が創造した作品を視覚的に認識できる。そのため光は創造性というテーマと深く結びついている」。新20フラン札の基本色はこれまでと同様の赤色だ。
スムーズな導入
スイス中銀は約1年前、新紙幣シリーズの第1弾として緑色の新50フラン札の流通を開始。新50フラン札の導入は今のところうまくいっていると、ツアブリュック氏は言う。
同氏によると、新50フラン札は第8次紙幣シリーズの旧50フラン札に比べ、予想通り丈夫で裂けにくくなっている。しかし、新札が流通してからまだ時間的に短く、データが不足していることから、新札の質や流通性に関して長期の予想は立てられないという。
偽造防止が第一
スイス中銀が新紙幣を導入する一番の目的は偽造防止だ。新50フラン札を除く現行の第8次紙幣シリーズは1995~98年に流通が開始されたもので、当時の偽造防止技術は現在の水準には適さなくなっている。そこで、スイス中銀は新紙幣に合計15の偽造防止技術を採用し、安全対策の強化に乗り出す。
現行の20フラン札は当面の間有効。古い紙幣はスイス中銀が継続的に回収する。スイス中銀は第9次紙幣シリーズのすべての新紙が流通した時点で、旧紙幣の交換を呼びかける予定。この時点で現行の紙幣は使用不可となるが、スイス中銀が交換に応じる。
新紙幣シリーズの導入が完了するのは2019年。次回は10フラン札で、次いで200フラン札、千フラン札と続く。最も流通量の多い100フラン札は最後に刷新される。
(独語からの翻訳・鹿島田芙美)
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世界一安全な紙幣、50フラン
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スイスの50フラン紙幣が、国際銀行券協会(IBNS)の紙幣コンペで「バンクノート・オブ・ザ・イヤー2016」を受賞した。
芸術的価値があり、革新的なセキュリティ機能を備えた紙幣に与えられる「バンクノート・オブ・ザ・イヤー」。今回受賞したスイスの50フラン紙幣は偽造防止のために、特殊な繊維や赤外線吸収インク、光学的変化インクを使うなど、計15種類の特殊性を備えている。さらに3層構造のうち2層には、綿紙と補強性のある高分子素材が使われており、従来の紙幣よりも耐久性がある。
IBNSはスイスの50フラン紙幣について「3層構造のDurasafe® 技術を採用した鮮緑の縦型紙幣には、タンポポの綿毛、山脈を背景に宙を舞うパラグライダー、創造性にあふれる人間の手が描かれている」と話す。
高分子素材を使用した紙幣が「バンクノート・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるのは今回で3度目だ。
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1000フラン札は「スイス文化の一部」
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スイスの1000フラン札(約11万円)は世界で最も高額な紙幣の一つだ。欧州中央銀行は今月4日、違法行為を防止する目的で2018年末までに高額紙幣の500ユーロ札の発行を停止する計画を発表したが、スイス政府は「1000フラン札はスイス文化に欠かせない」として同紙幣発行の継続を明らかにした。
スイス国内で流通している1000フラン札は、2000~14年の間に2千万枚から4千万枚へと倍増した。
中道左派のスイス社会民主党マルグレット・キーナー・ネレン議員はテロリストや犯罪者間での現金取引やマネーロンダリングに悪用されやすいとの観点から、高額紙幣の流通を懸念する。
だがスイス政府は19日、こうしたリスクを認識しており、高額紙幣を使った違法行為の防止に必要な対策はすでに講じられていると文書で回答した。
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地域通貨はスイスでブームになりつつある。南部のヴァリス(ヴァレー)州では今年4月、地域通貨「ファリネ」紙幣の流通を始める。ジュネーブでは2015年、レマンと呼ばれる地域通貨の流通が始まった。
地域通貨イズナウのアイデアは、ジュネーブで行われた00年の夏祭り「ジュネーブ・フェスティバル」の資金集めに作られた記念通貨「サブリエ」がもとになっている。ファリネは、ヴァリス州シオンが06年の冬季五輪招致運動で発行した地域通貨が原点だ。
ファリネの運営団体は紙幣の印刷費2万5600フランをクラウドファンディングで集めたと公表。流通枚数は8万枚で、協賛するカフェやタクシー会社、商店など100カ所で使える。
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