スイスの職業訓練生の約3分の2がセクシャルハラスメントを経験していたことが、労働組合ウニア青年部が12日公表した調査で分かった。その多くが未成年で、被害場所の3分の1は職場だった。
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの職業訓練
スイスでは、前期中等教育(日本の中学校に相当)の義務教育を終えると、職業教育・訓練に進むか、成績が良ければ大学進学を前提とした高校に進む。3分の2以上が職業訓練コースに進む。制度の詳しい説明はこちらから。
調査外部リンクは職業訓練生800人を対象に実施。回答者の28%は職業訓練の初年度だった。女性は全体の61%。
多くが未成年で、最初の職場で働き始めてまだ間もない時点だった人が目立つ。セクハラを受けた場所が職場、学校だったのはそれぞれ3分の1、私生活では半数以上に上った。セクハラを経験したことがなかったのは30%だった。
ウニア青年部のカトリン・ツィルテナー氏は声明で「極めて多くの若者がそのような経験をしている。訓練生だけなく、すべての従業員の保護を強化することが必要」と警鐘を鳴らした。
セクハラで最も目立ったのは、性的な意味合いを持つ皮肉や中傷的な発言だった。80%の女性がこうした被害を受けたと答えたのに対し、男性では46%と性別による差が目立った。
仕事へのストレス
調査では、多くの訓練生が強いストレスを感じていたことも分かった。約70%がストレスを感じているとし、半数近くが(そのストレスで)どうしようもなくなる時があると答えた。
また、3分の2(63%)が訓練期間中に残業したことがあり、3分の1(31%)が職場でいじめに遭ったと答えた。
ウニアはこれを受け、特に残業と夜間の業務から訓練生を守る措置が必要だと指摘。相談窓口を設け、加害者には罰則を設けるなどセクハラを許容しない職場づくりも必要だとしている。
おすすめの記事
クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
このコンテンツが公開されたのは、
クレディ・スイスが経営危機に陥った責任を追究するスイス連邦議会の調査委員会は20日発表した報告書で、原因は長年にわたる経営上の不始末にあったと結論付けた。
もっと読む クレディ・スイス危機への対応「時間がかかりすぎた」 議会調査委が報告書
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
続きを読む
おすすめの記事
スイスの職業訓練―高校進学だけが人生ではない
このコンテンツが公開されたのは、
大学進学に繋がる高校進学だけが人生ではない。スイスの若者の大半はわずか十代半ばで自分の道を決め、希望の職種がある会社に見習いとして入る。 ベルンで60年以上の歴史を持つ眼鏡店「ハインツェルマン(Heinzelmann)…
もっと読む スイスの職業訓練―高校進学だけが人生ではない
おすすめの記事
職業訓練・普通高校(後期中等教育)
スイスの若者たちは義務教育の終盤に重要な選択を迫られる。将来の職業に適した職業訓練を受けるか、大学進学を目指す普通高校に進むかを選ばなければならない。
もっと読む 職業訓練・普通高校(後期中等教育)
おすすめの記事
スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
このコンテンツが公開されたのは、
燃え尽き症候群(バーンアウト)に関しては、世界保健機関(WHO)が新分類を導入したにもかかわらず、雇用者にも医療関係者にもいまだによく理解されていない。失敗を恐れる文化のあるスイスは、燃え尽き症候群とその治療という問題にようやく正面から向き合いつつある。
もっと読む スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
おすすめの記事
スイスの男女間格差
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは男女平等が憲法で保障されている。これは1981年6月14日の国民投票で有権者が勝ち取った権利だ。ところが可決から38年経った現在でも、この権利は実現されていない。スイスの日常生活における男女格差を示す5つの重要な指標を以下にまとめた。
もっと読む スイスの男女間格差
おすすめの記事
セクハラ問題、スイス大手企業は依然としてタブー
このコンテンツが公開されたのは、
性被害を告発する「#MeToo(「私も」の意)」運動が世界各地に広がった1年前、上層部が優れた指導力をみせた企業がいくつかあった。多国籍企業のイケア・スイスもその一つで、社内行動規範の周知徹底を図り、セクハラがあった場合はそれをオープンにし、独自の主体的プログラムで対応した。
もっと読む セクハラ問題、スイス大手企業は依然としてタブー
おすすめの記事
16歳の選挙権、賛成?反対? 若者の意見
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは先月、多くの生徒が気候変動対策を求めてストライキをした。より強く政治に関わるために16歳から選挙権を与える案も浮上するが、若者の間でも賛否は分かれる。
もっと読む 16歳の選挙権、賛成?反対? 若者の意見
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。