欧州で難民問題が深刻化していることを受け、スイスの慈善団体「幸福の鎖」は15日、スイス放送協会と共同で、難民への募金を呼びかけるためのキャンペーンを企画。その日に集まった寄付金は、700万スイスフラン(8億7千万円)以上にのぼった。
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集められた寄付金は、シリアなどの紛争地からスイスの隣国に到着した難民や、バルカンを経由してヨーロッパを目指す難民の支援に充てられる見通し。
シリア、イラク、ヨルダン、リビアからの難民を支援する目的として、「幸福の鎖外部リンク」には過去3年間で約3千万フランの寄付金が寄せられた。そのうちの1300万フランが、難民問題が日に増して悪化したことを背景にこの3週間で集められた。
今回のキャンペーンで集まった寄付金は、食料品、医薬品、水、衣料の調達、また心理カウンセリングや法律相談などを行う難民受け入れ施設への支援に使われる。
「幸福の鎖」は、スイスインフォの親会社であるスイス放送協会と共同で人道支援のための寄付金を集めている団体。同団体は昨年、4千660万フランに相当する175のプロジェクトを支援した。
スイス政府の反応
ここ数カ月の間で何十万人もの難民がヨーロッパに押し寄せたことで、ハンガリーなどの各国、さらには欧州連合(EU)の移民制度全体に多大な重圧がかかっている。
スイスのシモネッタ・ソマルーガ連邦大統領は14日、EUの内務・法務相理事会が難民を加盟国に割り当てる案に関して最終決定を先延ばしたことに対し、失望の意を表明した。
今年初めにスイス政府は、今後3年間で3千人の難民を追加で受け入れることを決めた。シリアで4年前に紛争が勃発してから今日まで、スイスはおよそ9千人のシリア難民を受け入れている。
さらにスイス政府は、シリアへの人道支援に2千万フランの追加を決定。これにより、スイスからシリアへの支援金は2015年で5千万フランとなる。
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