鉄道運賃値上げ !
「今年末にスイス連邦鉄道運賃の大幅な値上げを検討している」と公共交通組合が1月14日発表した。
スイス連邦鉄道 ( SBB/CFF ) は、平均で6.4%の値上げを12月12日から実施する予定で、理由は鉄道網拡大やサービスの向上に伴う工事や新車両、エネルギー、安全などにかかる費用だという。
2年間の半額割引カードは2割値上げ
最大の値上げは、それを購入すれば全ての運賃が半額になる年間半額割引カード。1年間のカードは165フラン ( 約1万4700円 ) になり10%の値上げ、2年間カードは20%値上げで300フラン( 約2万7000円 ) になる。
また、スイス国内をどこでも一日で往復できる割安切符も6.6%の値上げ。一年間のスイス全国用定期は、非常に人気が高くなっているが、平均6.7%の値上げになる。大人の1等車が5000フランを超え5150フラン( 約46万円 ) に、2等車が3300フラン( 約29万円 ) になる。
公共交通組合( VÖV/UTO ) は、「国民には賛同されないと思うが値上げせざるを得ない状況だ」と述べた。スイスではここ数年間で鉄道利用者が急増し鉄道網の拡大や本数を増やすなど、サービスの向上に努めざるを得ない状況で、さまざまなインフラへの投資の増額を訴えた。また過去3年間値上げせず、特に昨年12月には不況をかんがみ値上げに踏み切らなかったことも理由に上げた。
実際、スイス連邦鉄道と公共交通組合のメンバーだけで、2030年までに約200億フラン( 約1兆7800億円 ) の投資を見込んでおり、車両の改良だけで2016年までに4億フラン( 約3600億円 ) の投資を行う予定だ。
200以上の企業が構成する「旅客委員会」が決定した今回の運賃の値上げでは、約1億5000フラン( 約130億円 ) の収入が見込まれている。しかし、この値上げは運賃値上げ監査機関の審査を通過する必要があり、今後30日以内に決定が下される。ただ通常、値上げそのものが却下されたことは例がなく、値上げ率を下げるといった妥協案が行使される予定だ。
現在、連邦環境・運輸省 ( UVEK / DETEC ) からも組合からも反対意見は出ていないが、スイスフランス語圏の消費者団体は、「まず値上げの理由を透明性を持って正確に提示して欲しい。また資金源はほかに求めるべきで、不況の時期の国民のさいふからであってはならない」と反対している。
外電、swissinfo.ch
年間乗客者数は約3億2200万人 ( 人口約760万人 )、貨物総量は約5400トン。路線総距離は約3000キロメートル。
スイス連邦鉄道の運行ダイヤの正確さは世界でも有名で、国際鉄道連合 (Union Internationale des Chemins de fer/UIC ) の統計によると、2008年は総本数の95.8%がダイヤ通り運行された。
2009年4月2日に発表された調査によると、顧客の満足度を100点満点で表した場合、2007年は76.8点だったのに対し2008年には76.5点と下降した。不満として上げられたのは、満席で座れない、清潔度、エアコンがない車両がある、車両が古いといった点だった。
スイス連邦鉄道はこうした不満に対応するため、本数を増やし、車両の改良を行うなどのサービスの向上に努めようとしており、その費用のため値上げは必然だと訴えている。
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