© Keystone / Gaetan Bally
スイスで50歳未満のがん患者が増えている。専門家は「患者数はほぼ2倍になった」と語り、「憂慮すべき兆候」だと警鐘を鳴らす。
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ大学病院(CHUV)腫瘍内科部のソランジュ・ピーターズ部長はヴォー州の日刊紙24 heures外部リンク(21日付)で50歳未満のがんは非常にまれだったが「状況は変わりつつある」と語った。「高齢者に比べると数字は小さいが、(30年前に比べ)2倍近くに増えた。これは憂慮すべき兆候だ」。特に乳がんや結腸がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、腎臓がん、子宮がんが増えているという。
肥満、座りっぱなしのライフスタイル、喫煙、アルコールといった明確なリスク要因に加え、食事中の人工砂糖や添加物もがんにかかるリスクを高める可能性がある。「スイスのような先進国では、この変化は人々のライフスタイルと結びついているようだ」(ピーターズ氏)
「容認できない不平等」
他のライフスタイルに起因する可能性がある病気として▽赤身肉の過剰摂取と消化器腫瘍▽汚染と呼吸器・尿路の損傷▽ホルモンと乳がんなども浮上しているという。
ピーターズ氏は健康的なライフスタイルはがん予防の基礎だが、遺伝的要因や感染性要因も関わっている可能性があると指摘する。一方で、早期発見も重要で、検査費用を負担する州も多い。
また症状を長引かせるよりも医療に助けを求めたほうが良いとも強調する。「だが残念なことに、そのためにはスイスの医療保険制度がすでに容認できない不平等を生み出している」
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイス、シェンゲン域外の訪問者のデータを収集へ
このコンテンツが公開されたのは、
シェンゲン協定域外の旅行者のデータは、スイスを含む加盟国の国境で今後、自動的に記録される。
もっと読む スイス、シェンゲン域外の訪問者のデータを収集へ
おすすめの記事
スイス議会、新聞配達費用の補助金を引き上げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)の委員会は4日、新聞の配達費用の補助金を引き上げる内容の郵便法改正案を提出した。
もっと読む スイス議会、新聞配達費用の補助金を引き上げ
おすすめの記事
賃金分析「罰則・対象拡大が必要」 スイス労働団体
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの労働組合など52団体が3日、政府に男女賃金差別を撤廃するための法制強化を求める公開書簡を発表した。
もっと読む 賃金分析「罰則・対象拡大が必要」 スイス労働団体
おすすめの記事
スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が3日発表した2024年度決算確報は、807億フラン(約13.5兆円)の黒字だった。速報時点の見込み通り、連邦政府・州に30億フランを配当する。
もっと読む スイス中銀、807億フランの黒字 2024年決算
おすすめの記事
スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中央銀行、SNB)のマルティン・シュレーゲル総裁はスイス紙のインタビューで、中銀の準備金にビットコインを追加する国民投票案に反対する考えを示した。暗号資産(仮想通貨)は資産として多くの問題を抱えていると指摘した。
もっと読む スイス中銀総裁、ビットコインの準備金化に反対
おすすめの記事
スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は3日の国連人権理事会(HRC、本部・ジュネーブ)で、ドナルド・トランプ米大統領が連邦・州レベルの死刑制度を強化する大統領令に署名したことを「深く懸念している」と表明した。
もっと読む スイス、米国の死刑推進に「深い懸念」表明 人権理事会で
おすすめの記事
スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は24日、鉄道橋の構造安定性を評価する人工知能(AI)ツールを開発したと発表した。
もっと読む スイス連邦工科大、鉄道橋の構造安全性を評価するAIツールを開発
おすすめの記事
スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス株式市場で24日、代表指標のSMIが一時1万3000の大台を超え、史上最高値を記録した。前日のドイツ連邦議会選挙で保守派が勝利したことを受け、安心感が広がった。
もっと読む スイス株式相場、初めて1万3000の大台に
おすすめの記事
ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
このコンテンツが公開されたのは、
東スイスの有名観光地ゼンティス山の山岳ケーブルカー「Säntisbahn」運営会社は24日、強風に対する安定性向上を目的にケーブルカー施設の全面改修工事に着手すると発表した。
もっと読む ゼンティス山の山岳ケーブルカー、改修工事へ
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
続きを読む
おすすめの記事
「がんになるってこんな感じ」 がん経験者の場合
このコンテンツが公開されたのは、
がんを2度患ったことのあるガブリエルさん(24)は、他のがん患者とあからさまに死について話したことはない。誰がどんな治療を受けているかなどが患者同士の会話の中心で、時にはお互いにそれを競い合うように話したという。
もっと読む 「がんになるってこんな感じ」 がん経験者の場合
おすすめの記事
がんの治療法開発、ウクライナ戦争で暗礁に
このコンテンツが公開されたのは、
ウクライナ戦争の影響で、ウクライナとロシアで行われている何百件もの臨床試験が中断を強いられている。患者は治療を受けられない上、新薬の開発も脅かされている。その火の粉は、スイスの製薬会社にも降りかかる。
もっと読む がんの治療法開発、ウクライナ戦争で暗礁に
おすすめの記事
アスベストがなぜがんを引き起こすのか スイスの病院などがメカニズム解明
このコンテンツが公開されたのは、
アスベスト(石綿)による中皮腫患者への補償問題が最近、スイス連邦議会で大きく前進した。アスベストの繊維がどのようにして中皮腫などのがんを引き起こすのかー。チューリヒ大学病院の医師らが、そのメカニズム解明の手がかりをつかんだ。
もっと読む アスベストがなぜがんを引き起こすのか スイスの病院などがメカニズム解明
おすすめの記事
「私は誰も殺したくない」
このコンテンツが公開されたのは、
医師で自殺ほう助団体ライフサークルの代表、エリカ・プライシヒさんは、外国人を含む患者の死を手助けしてきた。彼女は他国での自殺ほう助合法化を提唱する一人でもある。その理由を聞いた。
もっと読む 「私は誰も殺したくない」
おすすめの記事
コロナ重症化リスク因子、年齢だけではない 研究で明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスに対するリスク因子についての知見が増えてきた。スイスの科学者が関与する2つの研究で、遺伝子と血糖値が感染の経過に重要な役割を持つことがわかった。
もっと読む コロナ重症化リスク因子、年齢だけではない 研究で明らかに
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。