エジプトで開催されていた気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が20日に閉幕した。会議では、途上国が気候変動で受けた被害や経済損失を富裕国が支援する基金を創設することで合意した。しかし、スイス代表団は、総じて「良い結果とは言えない」と述べた。
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2週間にわたり197カ国が交渉したCOP27。最終宣言文書を採択する際、スイスの代表団が土壇場で介入したため、議事を一時中断し、内容を見直した。
最終的には、気候災害に見舞われた貧しい国々に資金援助を行う「損失と損害」についての世界基金を創設することで合意した。気候変動の影響に最も苦しむ「南半球」の国々は同基金を歓迎したが、誰がこの基金を負担するかなど、論争を招いた決定は来年に持ち越しとなった。
「良い結果とは言えない」
化石燃料の使用を削減する問題に関しては、新たな進展は得られなかった。化石燃料からの脱却は、地球温暖化を産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑えるために早急に求められる。しかし、サウジアラビアやロシアを中心とした国々の抵抗により、石炭を含む全ての化石燃料を段階的に削減する案を最終宣言に盛り込むことはできなかった。同案は昨年、グラスゴーで行われたCOP26で合意されていた内容だ。
スイスの主任交渉担当者フランツ・ペレス氏はswissinfo.chに対し、「芳しい結果は得られなかった」と語った。「最もぜい弱な国に焦点を当てるために、『損失と損害』に関する文章を含め、特定の分野で一歩後退するなど、最悪の事態は防げたと確信している」
また、ペレス氏は、スイスが基金に貢献するかどうかは、現時点では「時期尚早だ」と述べた。
編集:Virginie Mangin/gw、英語からの翻訳:シュミット一恵
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