新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、イタリア政府は北部地域に出していた移動制限を全土に広げる異例の措置に踏み切った。スイス南部のティチーノ州にはイタリアから約7万人の越境労働者が来ており、経済への影響は必至だ。
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イタリアからは毎日、約6万8千人が仕事のため国境を越えて入ってくる。遊びに来る人も多い。イタリア語圏のティチーノ州の経済は、イタリアの労働力と貿易に大きく依存している。
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イタリア北部地域に移動制限が設けられたのは8日。コンテ首相が首相令を出し、国人口の4分の1にあたる1600万人が事実上隔離されることになった。イタリア政府は該当地域の住民は地域外への出入りのほか、域内の移動も制限するよう要請した。ただ感染拡大が止まらないため、首相は9日、緊急会見を開き、10日から移動制限を全土に広げると発表した。イタリアの全人口6千万人に影響が出る。
イタリア政府は仕事や緊急時以外の外出・移動をしないよう命じた。さらにすべての集会を禁止し、スポーツの試合なども中止した。
イタリア国内では9千人が新型コロナウイルスに感染し、400人以上が死亡。中国を除き、世界で最も被害が深刻だ。感染が確認された州は20州に上る。
スイス国内の初の感染者はティチーノ州で発生したが、その後、国内各地で報告されるようになった。同州は現在も被害が最も大きい。同州政府は10日午前、高齢者施設に入居していた女性(80)が新型コロナウイルス感染により死亡したと発表した。国内の死亡者は3人に増えた。
イタリアの移動制限は来月3日までの予定。仕事や緊急の場合、健康上の理由などを除き、域内の出入りが禁止される。
スイス連邦政府は、イタリアから労働者がスイスに入国する際は、雇用証明書の提出が必要としている。
ただ越境労働者はこれまで同様、スイスでの労働が可能だ。イタリア人労働者はティチーノ州経済を支える重要な要素で、医療・健康分野では4千人のイタリア人労働者が働く。連邦政府は10日、労働者の受け入れが「ティチーノ州の医療システム維持につながる」との声明を出した。
ティチーノやスイス国内の他大学に通うイタリア人学生への影響も明らかになっていない。ティチーノ州にあるスイスイタリア語大学は、北部地域の学生に対し、ルガーノ・メンドリージオのキャンパスには来ないよう呼びかけた。
連邦政府は国民に対し、ウイルスの影響が出ている地域へ出入りしないよう呼びかけたが、商品取引には通常通り国境を開放する。国際列車もほぼ通常通りの運行だ。
一部国々では、影響が出ている国への渡航を控えるよう勧告が出ている。
スイス政府は、イタリア国境の完全封鎖は否定した。アラン・ベルセ内相も9日夜、イタリア語圏のスイス公共放送(RSI)に対し、同様のコメントを繰り返した外部リンク。
ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ブリックが読者約1千人を対象に実施した聞き取り調査では、4人に1人がイタリアとの国境を封鎖すべきと答えた。
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ティチーノ州政府は9日夕、さらなるウイルス感染拡大を防ぐため、病院・高齢者介護施設の見舞い・訪問を10日から禁止すると述べた。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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