サッカーのワールドカップ(W杯)に出場しているスイス代表を応援したいー。対セルビア戦を翌日に控えた21日、会場のスタジアム駐車場に1台のトラクターが到着した。運転していたのはスイス人のベアト・シュトゥーダーさんら。スイスからロシアまではるか2千キロの道のりを旅してきたという。
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正午の太陽に照らされた深紅のビンテージ・トラクターは1964年製。この日、会場となるカリーニングラード・スタジアムの駐車場に無事到着し、スイス・ルツェルンを出発してから12日間に渡る壮大な「W杯への旅」を終えた。
シュトゥーダーさんが願うのはただ一つ。スイスがセルビアに勝つことだ。
シュトゥーダーさんは地元でトラクター博物館を運営している。スイス代表のW杯ロシア大会出場が決まったとき、友人のヴェルナー・ツィマーマンさんとヨセフ・ワイアーさんとで「トラクターでロシアまで行く」というとっぴなアイデアを思いついた。
単なる冒険に終わらせないため、3人は旅の目的を「スイスの子供たちへのチャリティー活動」と銘打ち、約2万フラン(約220万円)の資金を調達した。
シュトゥーダーさんとツィマーマンさんは「トラクターの旅は快適」と話す。2人が毎日6時間ずつトラクターを運転し、ワイアーさんは物資を積んだバンで併走した。
ワイアーさんは「この2人は本当に子供みたいでね。こういうことは一生に一度の出来事だと思うが、3人で本当に楽しいときを過ごせた」と微笑む。そして「馬鹿みたいなアイデアは、ちょっとお酒が入ったときに浮かぶもの」とおどけた。
ポーランドでは地元警察に飲酒運転を疑われてシュトゥーダーさんが呼気検査を受けるハプニングもあったが、お酒を飲んでいなかった3人は事なきを得て、旅を続けた。
ユニークな旅
W杯会場への「ユニークな旅」をやり遂げた人は他にもいる。シュトゥーダーさんらが到着する少し前、一人の英国人が代表戦初戦のイングランド対チュニジアの試合を見るため、ブルガリアからヨットでスタジアムがあるヴォルゴグラードに到着。他にも多くのファンがバイクで現地入りした。
トラクターで会場に来た人も3人が初めてではない。ドイツのファン、フーベルト・ヴィルスさんはドイツからモスクワまでトラクターを運転して現地入りし、今大会のドイツ代表戦を観戦している。
しかし、シュトゥーダーさんらは、トラクターでの旅そのものが楽しかったと話す。シュトゥーダーさんは「私たちはたくさんの風景を見て、多くの人々と出会った。トラクターに乗っていた私たちに文句を言う人は一人もいなかった。本当に素晴らしい旅だった」と振り返った。
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