スイスの視点を10言語で

学校でマスク義務化の動き スイス各州で感染予防に

View of Lucerne
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、ルツェルン州はギムナジウム・職業専門学校でのマスク着用を義務化すると決定した。 Keystone / Urs Flueeler

スイス中央部のルツェルン州が、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、高等学校(ギムナジウム)および職業専門学校でのマスク着用を夏休み明けから義務化する方針を発表した。スイスの教育機関としては初の義務化となる。ジュラ州や他の州も同様の対策をとる可能性がある。

学校教育は州の管轄下にあるため、秋学期の開始に向けどのような新型コロナ対策を講じるかは、各州が決定権を持つ。

ルツェルン州教育局広報課のレグラ・フバー氏は14日、swissinfo.chに対し、マスク着用の義務化を認めた上で、「ギムナジウムや職業専門学校の生徒と職員を効率的に感染から守るためにも、対面型の学習時間に限らず、休み時間や廊下でもマスク着用を義務付けることになるだろう」とコメントした。

ただ、「(大部屋、少人数グループ、スポーツの授業など)1.5メートルの距離が保てる場所では、マスク着用は義務ではない」。

当局は今後、8 月の新学期をどう開始するかについて詳細を決める。「新型コロナを取り巻く状況に変化が生じない限り、基本的にはマスクの着用が義務付けられるだろう」。

全国一斉の休校措置

今回の義務化によって、ルツェルン州は15~16歳以上の生徒が通うギムナジウムおよび職業専門学校の対面型学習を本格的に再開したい意向だ。

スイス政府は3月13日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国一斉の休校措置を取った。その後、義務教育機関(幼稚園、小学校、12~15歳までの生徒を対象とした前期中等教育学校)は一部の州を除き、5月11日に再開した。

ギムナジウム、大学、職業専門学校は6月8日に休校が解除されたが、少人数グループでしか授業ができなかったこともあり、実際には多くの学校が夏休み前までリモート学習を継続していた。

ドイツ語圏のスイス公共放送SRFによると、フランス語圏のジュラ州も同様のマスク着用義務化を検討しているが、まだ正式な発表はされていない。SRFの調査では、さらに10州が学校でのマスク着用義務化を検討していることが分かった。

全国州教育委員会代表会議(EDK/CDIP)の広報担当アレクサンダー・ゲルリングス氏は、スイスの学校内でのマスク着用は義務ではないが、どのような措置をとるかは各州の判断に委ねていると述べた。EDKはスイス通信社Keystone-SDAに対し、マスク着用に関する勧告をする予定はないと答えている。

フリブール大学

SRFによると、フリブール大学もまた、夏休み明けの秋学期からマスク着用の義務化を計画している。原則として講堂やセミナールームは席を1つ空けて座り、講師を感染から守るため、最前列を空けておく必要がある。

他人と最低限の距離が保てない場合は、講堂やセミナールームでもマスクの着用が義務となる。このルールは8月1日からスタートする。


人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む
ベルジエ報告

おすすめの記事

「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱

このコンテンツが公開されたのは、 スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。

もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
整備中の飛行機

おすすめの記事

スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠

このコンテンツが公開されたのは、 スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。

もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
署名の入った箱

おすすめの記事

国民投票に向けた署名がまたも偽造

このコンテンツが公開されたのは、 医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。

もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
エリック・ヘンニさん

おすすめの記事

スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

このコンテンツが公開されたのは、 1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。

もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部