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ベーシック・インカム、フィンランドが試験的導入 国家レベルで欧州初

ベーシック・インカム導入案をめぐり2016年にスイスで行われた国民投票では、23%が賛成票を投じた Keystone

スイスが昨年6月に国民投票で問い、結局否決されたベーシック・インカム(BI)導入案。世界で注目を浴びるこの制度が今年初めからフィンランドで失業者約2千人を対象に、試験的に導入された。試験的とはいえ、国家レベルでの導入は欧州初だ。

 スイスで国民投票にかけられたベーシック・インカム導入案は、スイスに住む大人であれば就労状況に関わらず月額2500フラン(約27万円)を、子どもには625フランを支給するものだった。

 最低限の生活が保障されることで、自分の好きな仕事を選べるといったアイデアが若い人を中心に支持された。結局約8割の反対で否決されたものの、国家レベルの導入を目指すものとして、日本をはじめ世界から注目を浴びた。

 これに対し、今年初めから2年の限定で試験的に導入されたフィンランドのベーシック・インカムは、無作為に選ばれた約2千人の失業中の市民を対象に、月額560ユーロ(約6万8千円)の支給を行うもの。雇用を増進し、貧困を減らし、さらに事務的煩雑さを減少させることを目的にしている。

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否決されたベーシック・インカム、読者の声を基に 再考

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで行われた今月5日の国民投票で、世界初となるはずだったベーシック・インカム導入案はあっけなく否決された。しかし、同案に対する日本からの関心は投票前からも高く、否決後も多くのコメントがフェイスブックやスイスインフォの記事が掲載されたNewsPicks(ニューズピックス)に寄せられた。こうした反応を取り上げながら、スイスにおけるベーシック・インカム導入案について、もう一度振り返ってみた。

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 さらに、失業率8%のこの国の社会福祉システムでは、もし失業者に対して金銭的利益が極端に減るような仕事やパートタイムの仕事が提案された場合、それを拒否できる権利が保障されていることも、この試験的試みの理由としてあるという。

歴史的に見たベーシック・インカム

 ところで、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の思想は、現代に突如現れたものではない。イギリスの思想家トマス・モアは、政治・社会を風刺した1516年の著作「ユートピア」の中で、「ベーシック・インカムは泥棒を減らす一つの方法」として提示した。

 トマス・モア以降1970年代に入り、カナダをはじめナミビア共和国やオランダなどの自治体で幾つかのタイプのベーシック・インカムの実施が試みられている。

 現在、ベルギーを本拠地に活動するベーシック・インカム・ヨーロッパ・ネットワーク(BIEN)によれば、ベーシックインカムの一般的な考え方は、「就労状況や他の収入の有無に関わりなく、すべての市民に政府がベーシックな金額を毎月支給することだ」という。

(英語からの翻訳&編集・里信邦子)

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